2019 Fiscal Year Research-status Report
低温作動SOFC実現に向けたSi欠損ランタンシリケート酸化物イオン伝導特性の向上
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19K05009
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
中山 享 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (50300637)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アパタイト酸化物イオン伝導体 / 固体酸化物型燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランタンシリケートセラミックス焼結体について、一般的な固相反応法による作製方法にて、LaとSiの一部をアルカリ土類元素に置換することで、500℃でのイオン導電率0.014 S・cm-1を達成することができた。組成および作製条件と酸化物イオン伝導の関係を重点的に調べることによって、当初目標であった無配向品にて500℃でのイオン導電率0.02 S・cm-1にほぼ近い高い酸化物イオン伝導を示す焼結体を得ることができた。このランタンシリケートセラミックス焼結体の酸化物イオン伝導の向上によって、その焼結体を電荷質に用いたSOFC単セルの発電特性を向上させることが可能となった。アノードおよびカソード電極材料については、種々の検討からSOFC単セルにて最も優れた最大電力密度が得られたDCスパッタリング法にて形成したPt電極を用いた。さらに、DCスパッタリング法にて形成したPt電極と電解質のランタンシリケートセラミックス焼結体の間の緩衝層としてCeO2-Sm2O3系セラミックス薄膜を設けた。この緩衝層の有る無しは、SOFC単セルの最大電力密度値に大きな影響を与えることもわかった。緩衝層のCeO2-Sm2O3系セラミックス薄膜の形成方法としては、スピンコート法を用いた。また、上記の500℃でのイオン導電率0.014 S・cm-1を達成することができたランタンシリケート組成において、研究代表者が2013年に確立した「種結晶法によるセラミックスからの単結晶育成技術」を用いて単結晶作製を試みたところで、8 mm角程度の単結晶が得られた。c軸方向とc軸に垂直方向のイオン伝導に2桁以上の差を異方性があることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無配向品のランタンシリケートセラミックス焼結体にて、当初目標であった500℃でのイオン導電率0.02 S・cm-1にほぼ近い高い酸化物イオン伝導を達成することはできた。また、高い酸化物イオン伝導が得られた組成にて単結晶作製に成功し、その単結晶のイオン伝導の異方も確認できた。しかしながら、単結晶作製に手間取ったため、中性子回折測定による結晶構造解析および量子化学計算によるイオン伝導機構検討が未着手である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、まず単結晶の中性子回折測定による結晶構造解析を実施したい。また、c軸配向品を作製して、500℃でのイオン導電率0.1 S・cm-1を目指す。さらに、そのc軸配向品を用いて、電解質厚み1 mmの電解質支持型SOFC単セルにて500℃での最大出力0.1 W・cm-2の実現を検討する。令和2年度に、研究代表者の所属機関に高周波スパッタ装置が導入される計画があるため、緩衝層のCeO2-Sm2O3系セラミックス薄膜の形成方法として、現在用いているスピンコート法と高周波スパッタ法の違いについても調べる計画である。
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Causes of Carryover |
令和2年度に研究代表者の所属機関に導入計画がある高周波スパッタ装置を用いたSOFC単セルの緩衝層セラミックス薄膜形成に用いるターゲット材作製費用に使用する計画である。
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