2019 Fiscal Year Research-status Report
走査SQUID顕微鏡を用いた非c軸配向膜中の磁束量子の可視化と膜の高品質化
Project/Area Number |
19K05021
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
有沢 俊一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (00354340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 和弘 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (50356606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導 / 酸化物薄膜 / 磁束量子 / 走査SQUID顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非c軸配向のBi系超伝導薄膜の膜質向上と、そこに生じる磁束の直接観察を目的とするものである。超伝導体中では磁束が量子化されることが知られているが、層状構造を持つ酸化物超伝導体ではその大きな異方性から、磁束量子は扁平したジョセフソン磁束となる。本研究では①1方向成長した非c軸配向の薄膜を結晶性や平滑性を向上させ、高品質化を図る。②その薄膜を用いて、走査SQUID(超伝導量子干渉素子)顕微鏡を用いて非c軸配向のBi系超伝導体単結晶薄膜を観測し、実働環境下におけるジョセフソン磁束の挙動の観測を目指すものである。 本年度は①の結晶性、配向性や平滑性の向上部分を主として実施した。結晶性や配向性の評価に重点を置き、研究を進めた。配向性の評価については、主として薄膜用多軸X線回折装置を用いて行い、より高品質作製条件を探った。超伝導特性はGM型冷凍機を使用して評価するが、冷却系および測定系の電子機器の改良も併せて進めた。 また走査SQUID顕微鏡による磁束の直接観察に関しては、液体ヘリウムの入手不可能な期間を利用して装置の改良と改良による不具合が生じないことの検証を行った。主な改良点としては、より清浄な環境下で測定するための真空ポンプのドライ化、温度や圧力などより多くプロセスパラメータを測定し、かつ記録を行うことにより、測定の安定性の向上を行った。また測定の自動化も進めた。さらに予備的な試験運用を兼ねた測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
走査SQUID顕微鏡による測定は代表者の所属機関にて行う測定で、多量の液体ヘリウムを必要とするが、2019年度は本来2018年度に行われる予定であった所属機関のヘリウム液化施設の更新工事が実施され、当該実験部分に関してはやや遅れている。 しかし、概要の①の材料開発と②の走査SQUID顕微鏡による測定において、後者は研究期間の後半に重点が置かれていたため、現状では期間全体のスケジュールに大きな影響はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り一部リスケジューリングが必要となったが、時系列を見直して予定通りの研究が実施できるよう進めてゆく。前述の通り一部リスケジューリングが必要となったが、時系列を見直して予定通りの研究が実施できるよう進めてゆく。
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Causes of Carryover |
進捗状況で述べた通り、液体ヘリウム液化施設の更新工事に伴い、液体ヘリウムを利用した実験を実施期間の後半に重点化したこと、および新型コロナウイルスの影響による出張の延期などにより差額が生じた。 次年度は主に液体ヘリウム、試料作製の原材料その他消耗品、走査SQUID顕微鏡をはじめとする計測機器の改良に使用予定である。
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Research Products
(2 results)