2020 Fiscal Year Research-status Report
走査SQUID顕微鏡を用いた非c軸配向膜中の磁束量子の可視化と膜の高品質化
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19K05021
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
有沢 俊一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (00354340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 和弘 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (50356606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導 / 酸化物薄膜 / 磁束量子 / 走査SQUID顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非c軸配向のBi系超伝導薄膜の膜質向上と、そこに生じる磁束の直接観察を目的とするものである。超伝導体中では磁束が量子化されることが知られているが、層状構造を持つ酸化物超伝導体ではその大きな異方性から、磁束量子は扁平したジョセフソン磁束となる。本研究では①1方向成長した非c軸配向の薄膜を結晶性や平滑性を向上させ、高品質化を図る。②その薄膜を用いて、走査SQUID(超伝導量子干渉素子)顕微鏡を用いて非c軸配向のBi系超伝導体単結晶薄膜を観測し、実働環境下におけるジョセフソン磁束の挙動の観測を目指すものである。 本年度はコロナ禍もあり、自動化・遠隔化の促進として装置の改良を進めるとともに、結晶性や配向性の評価に重点を置いて研究を進めた。走査SQUID顕微鏡による磁束の直接観察に関しては、不具合のある部分の改善、老朽化した真空系の更新、ガス流その他のセンサーを設置し、測定プロセスの重要パラメータのモニタリングを行えるようにし、これによりデータをもとにフィードバックが行えるようになった。経験的な操作の定型化・自動化による安定性向上、記録データの大幅な増強、動作検証を行い、測定の成功の歩留まりを高めた。さらに試験運用を兼ねた測定を行った。配向性の評価については、主として薄膜用多軸X線回折装置を用いて行った。超伝導特性はGM型冷凍機を使用して評価を行った。冷却系および測定系の電子機器の改良も昨年度に引き続き併せて進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の期間また装置の自動化、安定化、真空系の更新などに力を入れたこと、また代表者の異動によるエフォート低下もあり、リスケジュールが必要となっているが、全体としてはほぼ順調といえる。。
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Strategy for Future Research Activity |
一部リスケジューリングが必要となったが、時系列を見直して予定通りの研究が実施できるよう進めてゆく。またヘリウムのロスを大幅に減らすよう改善を計画している。
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Causes of Carryover |
進捗状況で述べた通り、液体ヘリウム液化施設の更新工事に伴い、液体ヘリウムを利用した実験を実施期間の後半に重点化したこと、および新型コロナウイルスの影響による出張の延期などにより差額が生じた。 次年度は主に液体ヘリウム、試料作製の原材料その他消耗品、走査SQUID顕微鏡をはじめとする計測機器の改良に使用予定である。
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Research Products
(1 results)