2019 Fiscal Year Research-status Report
含フッ素コンポジット類をキーとした水中有機微量汚染物質の高効率除去システムの創出
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19K05027
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤田 英夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50259909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 含フッ素オリゴマー / シクロデキストリンポリマー / μサイズシリカゲル粒子 / マグネタイト粒子 / コンポジット / 有機汚染物質 / 除去 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、超親油・超撥水性を示す含フッ素コンポジット類をキーマテリアルとした水中の有機微量汚染物質を瞬時にかつ高効率に除去しうるシステムを創出することであり、特に、リサイクルをも可能とさせる新規な吸着剤を開発させることにある。具体的には、有機物に対して包接能さらには吸着能を示すシクロデキストリンポリマー(CDP)粒子および汎用のマイクロサイズシリカゲル粒子(μ-SiO2)に注目し、これらゲスト分子存在下、含フッ素オリゴマーのゾル-ゲル反応により対応する含フッ素コンポジット類を調製し、次いで水中に存在する内分泌攪乱作用を示すビスフェノールA等の種々の有機汚染物質の瞬時かつ高効率で簡便な除去法さらにはリサイクル可能なシステムを創出させることである。次いで、本研究では、含フッ素オリゴマー/マグネタイトコンポジット類の開発を行い、これらコンポジット類を用いることにより水中に存在する有機微量汚染物質を超親油/超撥水性を示すコンポジットがその超親油性のため瞬時に捕捉し、捕捉された有機汚染物質を水/空気界面で永久磁石により簡便に回収させ、リサイクルをも可能とさせるシステムを開発させるものである。 実際、当該年度の研究においては含フッ素オリゴマー/CDPコンポジットおよび含フッ素オリゴマー/μ-SiO2コンポジットの開発にそれぞれ成功し、これらコンポジットによる水中に存在する微量有機汚染物質の除去に成功した。さらに、含フッ素オリゴマー/マグネタイトコンポジット類の開発にも成功し、水中に存在する微量有機物(ドデカン)の永久磁石による回収に成功し、その回収プロセスには繰り返し特性があることも明らかにさせた。さらに本研究では、これらの知見を基に研究を進めた結果、水中に存在する種々の微量内分泌攪乱物質の永久磁石による回収にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究では、当初予定した研究項目を全て順調に遂行させることができた。特に、本研究では水中に存在する微量有機化合物の除去において、有機化合物の構造とその除去率との間に、興味深い関係があることが初めて見いだされた。具体的には、本研究課題に示した除去システムを用いることにより、フッ素を含む有機化合物を対応するフッ素を含まない化合物に比べより特異的に除去しうる独創的な研究成果を見いだした。有機フッ素化合物は、最近、医薬品さらには農薬等に数多く使用されており、医薬品においては20%以上、農薬においても30%以上を有機フッ素化合物が占めるとされている。従って、工場排水さらには河川等における微量有機フッ素化合物(有機汚染物質)の回収技術の確立は今後、その重要性がより高まることは明確であり、本研究課題の今後のさらなる展開が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、水中の有機微量汚染物質を瞬時にかつ高効率で除去しうる先に示したコンポジット類以外の新たな超親油/超撥水性を示す含フッ素コンポジット類の開発を先ず行う。このためには、種々の有用なゲスト分子のスクリーニングさらには超親油/超撥水性を示すコンポジット類の調製を行う。特に、これらコンポジット系に新たにマグネタイト粒子を用いた新規な含フッ素オリゴマー/コンポジット類の調製を行う。次いで本研究課題では、これら一連の含フッ素コンポジット類による種々の水中に存在する有機微量汚染物質の除去率と含フッ素コンポジット類の構造との関係についてより詳細な検討を行い、有機汚染物質の除去率が定量的(除去率:100 %)となり得る実験系を明確にする。さらに本研究課題では、これら実験系における含フッ素コンポジット類の繰り返し特性についても検討を行い、繰り返し特性の高いシステムの創出を図る。
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Research Products
(13 results)