2019 Fiscal Year Research-status Report
交流電解ゾル-ゲル反応を基にした生体成分の三次元集積とその医療応用
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19K05031
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 朋彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 准教授 (50452016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城崎 由紀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40533956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゾル-ゲル / 電気分解 / 交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体成分を電気泳動で集積させつつ、電気化学的に形成する足場材料にその生体成分を包括することを目的として検討を行った。生体成分を安定に包括できる材料として無機ゲルが知られている。足場材料として、電気化学的に形成した無機ゲルの有用性を示すとともに、三次元集積構造の形成技術の確立を目指した。 本年度は集積化プロセスの検討を行った。 1.無機ゲルとしてシリカゲルに着目し、テトラエトキシシラン(TEOS)を酸加水分解させてゾル溶液を調製した後、種々の交流電場を印加して電極表面にシリカゲルを形成させた。交流電場の波形、周波数、電場強度、印加時間等のパラメータの最適値を検討した。さらにゾル溶液へ、生体成分(細胞)のモデルとして、細胞と同様の大きさ・電荷を有すると考えられているポリスチレンビーズを添加し、電極表面へシリカゲルとともに集積可能か検討した。電場印加後、電極を乾燥して電子顕微鏡で観察したところ、ポリスチレンビーズとシリカゲルは共堆積でき、シリカゲルがポリスチレンビーズ集積の足場となりうることが確認できた。また、生体成分としてモデルタンパク質(牛血清アルブミン)を用い、交流電場下においてシリカゲルと複合化可能であることを明らかにした。 2.無機ゲルとして、生体活性を有するゲルの作製を検討した。TEOSから調製した溶液にカルシウム塩、リン酸塩等を添加し、パルス電場を印加することで、電極表面にカルシウムおよびリンを含むSiO2ゲルを堆積可能であることを明らかにした。パルス電場の条件によりゲルの組成は調整可能であった。擬似体液(SBF)への浸漬によって、堆積したゲルは生体活性を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交流電場を印加することによって、生体成分のモデルであるポリスチレンビーズやモデルタンパク質を、無機ゲルであるシリカゲルとともに電極表面に堆積できることを明らかにした。さらにシリカゲル以外の無機ゲルとして、生体活性を有するゲルを変動電場下で形成できることも明らかにした。このため、研究は計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画通り研究を推進する。 1. 細胞モデルとしてのポリスチレンビーズと無機ゲルの集積条件の最適化。 2. 形成した無機ゲルの分光法を用いたキャラクタリゼーション。 3. モデルタンパク質の構造評価。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定よりも効率よく研究を進めることができたためである。次年度の研究を加速できると考えている。次年度使用額の使用計画として、研究を加速するために必要な物品の購入を予定している。さらに、積極的な外部発表を目指す。
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Research Products
(2 results)