2019 Fiscal Year Research-status Report
チタン接合界面における反応相とボイドの生成を抑止する焼結接合
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19K05043
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
青柳 成俊 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70231785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 焼結挙動 / 硬さ / 界面組織 / 界面せん断強度 / 反応層 / 元素拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チタンと異材の接合時に脆弱な界面反応相を形成させることなく、かつ強固な界面強度を実現する生体医療用チタン/酸化物セラミックスの焼結接合方法の開発を目的としている。特に焼結前のチタン基材表面へのレーザー酸化処理が、接合界面でのボイド発生と反応層生成に及ぼす影響について調べ、界面強度の劣化を抑止制御する方法の実現を目指した。具体的には、純チタンとTi6Al4V合金を基材として、その表面にルチル型TiO2あるいはZrO2の酸化物セラミックス粉末を通電加圧焼結法で焼結することにより接合体とした。レーザー照射は酸化チタン層を形成させるために行った。製造した接合材の組織と硬さ、界面近傍の元素拡散、界面せん断強度を調べた。 本年度は純Ti/TiO2と純Ti/ZrO2の焼結接合材を製造し評価した。レーザー処理材との比較材として、研磨表面ままと放電加工処理したチタン基材も準備し同様に接合体を製造した。その結果以下を明らかにした。1)焼結接合体の加圧面硬さはレーザー処理が最も硬く、純Ti/TiO2は1147HV、純Ti/ZrO2は1554HVを示す。2)純Ti/TiO2の研磨ままとレーザー処理材は界面チタン側にマイクロボイドが生じる。放電加工材はボイドを生じないが層状組織を持つ。この組織がボイドの生成を抑制したと考えられた。純Ti/ZrO2ではボイドは生成しないが反応層がレーザーと放電加工処理材で生じた。界面せん断強度は純Ti/TiO2放電加工材で55.4MPa、純Ti/ZrO2放電加工材で39.8MPaを示した。層状組織は元素拡散に起因するが、その反応層が生成されても界面せん断強度には影響がないことが分かった。以上の結果は、純チタン基材表面の処理が界面組織と界面強度に及ぼす影響を明らかにしており、今後の焼結接合における最適表面加工の指針を与えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記載した研究成果を「国際会議MRS-J(Materials Research Society-Japan) 、日本金属学会、軽金属学会の学会で発表しており、成果とその学術公表においてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに純Ti/TiO2と純Ti/ZrO2の焼結接合材を製造し、主として組織と機械的性質の評価を実施した。今後は、Ti6Al4V/TiO2、Ti6Al4V/ZrO2のチタン焼結接合材を同様の手法で評価し、本年度の結果と比較考察する。 一方、全試料を対象に界面の原子レベルでの組織観察を実施する。具体的には1)界面近傍の組織を集束イオンビームで切り出して透過型電子顕微鏡を用いて解析を行い、界面の構造と強度の関係を明らかにする。2)界面近傍の元素拡散を調べ界面組織とボイド生成のメカニズムを明らかにする。 また以上の学会発表と論文投稿を計画する。
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Causes of Carryover |
主に「圧縮耐圧試験周辺装置」と「界面せん断試験専用装置」の金額分が次年度使用額として生じた。本年度中に装置図面の基本設計は完成していたが、年度末で予定していた専門加工業者との打ち合わせ~加工制作と納期が新型コロナウィルス対策の行動規範に則り、その対応のため、当初の2019年度内制作と納品が困難となった。次年度にこの2点の納品でほぼ計画通りの支出となる。
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Research Products
(4 results)