2021 Fiscal Year Annual Research Report
界面相互作用と物性の相関に基づくナノコンポジットの高機能化に向けた設計指針の構築
Project/Area Number |
19K05047
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡邉 亮太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50736832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子複合材料 / 熱分解分析法 / 界面相互作用 / 主成分解析 / 顕微赤外分光法 / 二次元相関解析 / 構造-機能相関 / in-situ測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、高分子と無機フィラーからなる複合材料の物性に関わる支配要因である異種の化学構造を解析するための新規手法の開発を行った。さらに、グラフェンとスチレン-ブタジエン-スチレンの高分子共重合体からなる新規複合材料に対し、昇温加熱して発生する熱分解成分の構造や量を質量分析装置により計測した。取得したデータセットについて、主成分解析を行うことで、界面構造に由来する特異的な分解成分を検出した。この界面構造の解析技術により、グラフェンとスチレン成分との間に、芳香環のπ電子に由来する相互作用が発現していることが示された。本評価技術が、各種複合材料の界面状態を評価できる手法として活用可能できる可能性を見出した。 顕微赤外分光法によるスペクトルの取得、および、二次元相関解析によるデータマイニングを組み合わせた手法により、ガラス繊維強化樹脂に延伸変形を加えた際のin-situ構造解析を行った。延伸時の高分子配向変化をマッピングにより可視化することに成功した。これにより、ガラス繊維と高分子の間に形成した相互作用が、延伸時の高分子の動きを抑制する効果をもたらすことがわかった。 本研究では、開発した複合材料の界面相互作用を解析する新たな技術の構築を推進した。開発技術を活用することで、複合材料の「界面密着性」と「物性」の相関を明らかにすることができる。この構造-物性相関から、所望の物性を発現する界面構造の効率的な設計に役立てることができると期待される。
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