2020 Fiscal Year Research-status Report
フリーズキャスティング技術を用いた人工真珠層の短時間合成法の開発
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19K05048
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
吉野 徹 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部環境技術グループ, 副主任研究員 (90614545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 森 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部表面・化学技術グループ, 副主任研究員 (60757376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 真珠層 / フリーズキャスティング / 積層体 / 炭酸カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にキチン積層体の多孔質化、非晶質炭酸カルシウムの新規作成法について検討した。 従来から知られているフリーズキャスティングによるキチン積層体の合成方法を応用し、様々な粒径のスチレンビーズを分散させたキチン積層体の合成に成功した。しかし、多孔質化のためにスチレンビーズを除去する工程で当初予定していた有機溶媒では除去できない事が判明した。現在、有機溶媒の種類を変えスチレンビーズの除去方法を検討している。 非晶質炭酸カルシウムは高濃度のCa水溶液(例えば塩化カルシウム水溶液)と高濃度の炭酸水溶液(例えば炭酸ナトリウム)を混合することで合成することが可能であるが、イオンの浸透性の良くないキチン積層体中で非晶質炭酸カルシウムを形成するためには不向きな方法といえる。そこで、別の新たな方法を検討した。 そのひとつとして、一旦、キチン積層体中に水酸化カルシウムを形成し、その後、炭酸水溶液に浸すことでキチン積層体中に炭酸カルシウムの高過飽和水溶液を形成することで、非晶質炭酸カルシウムを析出できないか検討したが、水酸化カルシウムから炭酸カルシウム結晶(カルサイト)へ非晶質炭酸カルシウムを経由することなく変化することが判明し、現在その他の方法を検討している。 その他、フリーズキャスティング法の改良のため、使用する金属板について熱伝導率の異なる複数の種類で比較検討したが、SUS程度の低い熱伝導率ではキチン分散液が凍らず、銅やアルミニウムの様に熱伝導率が高いものでは適度な温度勾配が実現できなかった。結果、それらの中間的な熱伝導率である鉄ないしは白金が適切であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キチン積層体の多孔質化において、当初予定していた有機溶媒で目的を達することができず、現在別の有機溶媒を検討している。キチン積層体の多孔質化は本研究の肝であり、この工程の送れが研究全体の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
キチン積層体の多孔質化において、目的にかなう有機溶媒の目星はついているので、早急に試作、検討し、研究全体の遅れを取り戻す。
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Causes of Carryover |
実験スケジュールの変更に伴い、一部購入を予定していた試薬の購入を次年度に繰り越したため。
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