2019 Fiscal Year Research-status Report
Design, preparation and performance enhancement of a new thermoelectric material of Ni-Ti-Al system Heusler alloy
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19K05053
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
魯 云 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (50251179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸井 貴臣 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50333670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホイスラー合金 / Ni-Ti-Al系 / 熱電材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高温構造材料として研究開発経験のあるNi-Ti-Al系ホイスラー合金を対象に第一原理計算の解析と不定比組成の材料創製による高熱起電力の探索,およびナノ・ミクロ複合構造の導入による熱伝導率の大幅な軽減とモンテカルロ有限要素法によるミクロ解析を行う計画である。電子構造・状態密度から,ナノ・ミクロ複合へとマルティスケールにおいて相乗効果を発現させる材料創製と機構解明によって実用可能な高性能Ni-Ti-Al系ホイスラー合金熱電材料を実現することを目標とする。 初年度では,本研究では,第一原理計算による電子構造を解析し,フェルミ準位における状態密度が小さく,フェルミ準位近傍の状態密度に急峻な変化がある組成のNi-Ti-Al系ホイスラー合金およびNi原子を他元素で置換したNi-M-Ti-Al系ホイスラー合金を探索し,その熱電特性の解析を行い,高性能化への検討を行った.その結果,(1)第一原理計算により,Ni量を減らすことによりフェルミ準位が価電子帯側,Ni量を増やすことにより伝導帯側に移動することが明らかになった.(2)NiMnTiAlのDOSよりフェルミ準位近傍に擬ギャップが形成しており,フェルミ準位を最適化することで高いゼーベック係数が期待されることが明らかになった.(3) Ni2TiAlとNiMnTiAlのゼーベック係数とZTが計算できた.Ni2TiAl では高温でゼーベック係数の低下が見られたが,温度上昇により低エネルギー側のDOSが高エネルギー側に遷移し,フェルミ準位近傍でのDOSの変化量が小さくなったためである.Ni2TiAlは正孔のドープ,NiMnTiAlは電子のドープで高性能化が期待される.初年度の結果をまとめ学会で2件の研究発表が行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,予定のとおり第一原理計算によるNi-Ti-Al系ホイスラー合金の状態密度とバンド構造について詳細に解析し,Ni2TiAlの状態密度を求めることができ,擬ギャップの存在を確認できた。フェルミ準位より離れたエネルギー準位に存在しているため,高性能化にはフェルミ準位近傍で状態密度の変化が大きいエネルギー準位へのフェルミ準位の移動が必要である.また,ゼーベック係数は温度の上昇と共に増加し,800Kにおいて-0.33μV/Kとなることが推定された.フェルミ準位の調整のために非化学量論組成と他元素置換をしたNi-Ti-Al系の状態密度を求めたが,非化学量論組成ではフェルミ準位の調整が困難であることを明らかにした.Tiを一部V置換したNi-Ti-V-Al系ではゼーベック係数が300K付近で極値を持ち,Ni2AlTiと比べて大きい値となったため,室温でのゼーベック係数の向上には有効であることが示唆された.本研究は,初年度ではほぼ計画の通り遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,まずモンテカルロ有限要素法開発・確立する予定である.また熱伝導率を軽減させるため,ナノAl2O3粉末,またはAl2O3ビーズ(直径<φ0.1mm)を複合したAl2O3/Ni2TiAlとAl2O3/NiTiAl ホイスラー合金について熱電特性(S,ρ,κ)への複合添加量と複合パターンの影響・効果 を解明する。これらの解析によって電子構造・状態密度から,ナノ・ミクロ複合へのマルテ ィスケールにおいて相乗効果を発現させる材料探索を行う。そして,これらの解析・探索をもとにNi-Ti-Al系ホイスラー合金について熱電材料の設計と作製に進む予定である。これまでのNiTi-Al系ホイスラー合金の反応焼結プロセスに関する知見を活かし,放電プラズマ焼結法 (SPS)を用いてNi2TiAlとNiTiAl合金,Ni2Ti1±xAl1±x;とNiTi1±xAl1±x,またNi2(Ti M)1±xAl1±xと Ni(TiM)1±xAl1±x,(M=Cr, Cuなど)合金,およびAl2O3/Ni2TiAlとAl2O3/NiTiAlホイスラー合金複合材料を作製する。それから,材料解析と熱電特性の計測を行う。これらの計算解析,材料作製,材料解析および熱電特性測定を進めていく計画である。
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Research Products
(3 results)