2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-strength titanium alloys and artificial hip joint by additive manufacturing
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19K05061
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
陳 中春 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00282111)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 積層造形 / チタン / 人工股関節 / 固溶強化 / 強度 / 生体適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属3Dプリンタを用い、人工股関節などの生体インプラントに利用可能な生体親和性の高い新たなチタン合金の創製および組織制御による高機能化を図ったものである。本年度は、純チタン粉末と微量の酸化物粉末からなる混合物を出発原料として用いてレーザ積層造形を行い、チタン中に酸素等の固溶による高強度化を目指し、造形体の密度や表面性状、結晶相、微視組織、集合組織および機械的性質に及ぼす造形パラメータの影響について検討した。得られた成果を以下に示す。 1. チタンと酸化物の混合粉末を用いて造形パラメータを変えて積層造形した結果、最適条件で相対密度99.95%の試料が得られ、緻密な造形が可能であることを明らかにした。造形体の相対密度は、エネルギ密度に依存し、エネルギ密度が上昇することで相対密度は増加するが、エネルギ密度を上げ過ぎると相対密度は低下する傾向を示した。また試料の表面粗さはエネルギ密度の上昇に伴い小さくなることが分かった。 2. 相分析の結果から、造形試料に酸化物のピークが消失し、チタンの格子定数が増加することを確認した。これは積層造形中において添加した酸化物が分解され、酸素等がチタンに固溶したためであると考えられる。 3. 造形試料は、レーザ溶融後の急冷凝固により微細な針状組織を形成した。EDSによる元素マッピングを行った結果、酸素等の元素がチタンのマトリックスに均一に分布していることが確認された。 4. 造形試料の硬さや強度は、純チタンより大幅に超えており、Ti-6Al-4V合金の鍛造材を凌駕することが分かった。これは造形体の高密度、微細な組織、および酸素等の固溶強化に起因すると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な目的の一つは、チタンに生体親和性の高い元素を導入し、3D造形のワンプロセスのみで、現在広く使用されているTi-6Al-4V合金に匹敵する高強度チタン合金を開発することである。本年度では、提案しているプロセスにより高密度の造形体を得ることができ、また、造形中に酸化物の熱分解により形成した酸素がチタンに固溶することができることを示した。その結果、造形試料がTi-6Al-4V合金より高い硬さや強度を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究成果を踏まえ、今後、積層造形時の主な造形パラメータが造形体の密度や表面性状に与える影響を示すプロセスマップを作成し、EBSDやTEMを用いて更なる組織解析を行い、積層造形における微視組織・集合組織の形成への理解を深める。また、積層造形試料の擬似体液中での疲労特性や耐摩耗性を評価し、最適な機械的性質を引き出すための酸化物添加量、積層造形条件、組織制御の指針を提案する。
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Causes of Carryover |
本年度の当初交付額に対して生じた残額を次年度の物品費用に充当する。
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