2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-strength titanium alloys and artificial hip joint by additive manufacturing
Project/Area Number |
19K05061
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
陳 中春 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00282111)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 積層造形 / チタン / 人工股関節 / 固溶強化 / 強度 / 生体適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究成果を踏まえ、本年度では、純チタン粉末に添加する酸化物の量を変えて積層造形を行い、造形試料の密度や結晶相・微視組織・集合組織および機械的性質に及ぼす酸化物添加量の影響について重点的に調べた。また、本研究で提案している手法をTi-6Al-4V合金にも適用し、チタン合金の更なる高強度化の可能性を検討した。得られた主な成果を以下に示す。 1. チタンと酸化物の混合粉末の積層造形における主な造形パラメータが造形試料の密度に与える影響を示すプロセスマップを作成し、最適な積層造形条件を明らかにした。 2.酸化物添加量の増加に伴い、チタンの格子定数が増加したが、a軸の変化が小さく、c 軸方向に大きく伸長した。その結果、軸比c/aが大きく増加した。これは、主として積層造形中において添加した酸化物から分解された酸素原子が八面体空隙に固溶したためであると考えられる。 3. 積層造形試料の硬さや強度は、従来のTi-6Al-4V合金より向上し、しかも良好な強度と延性のバランスを示した。チタンに酸素を導入することによって、塑性変形の際に、双晶変形がほぼ抑制され、すべり変形が塑性変形の主要なメカニズムであると思われる。また、柱面すべりだけでなく、錐面すべりも活動することが示唆されている。 4. Ti-6Al-4V合金粉末に微量の酸化物を添加し積層造形した結果、組織の微細化および酸素等の固溶強化により造形試料の強度や硬さは著しく向上したことが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、酸化物の添加量による造形体の組織や機械的性質への影響を検討し、また、酸素等の固溶により純チタンとは異なるすべり挙動が示唆された。さらに、本研究で提案している手法をチタン合金にも適用し、チタン合金の更なる高強度化の可能性を見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、造形試料の微視組織を更なる解析し、積層造形における組織の形成や酸化物の影響への理解を深めるとともに、造形試料の疲労特性、耐摩耗性および耐食性を評価する。また、多孔質層/緻密体の一体造形を試み、人工股関節用新規チタン合金の積層造形プロセスを確立する。
|
Causes of Carryover |
予定していた旅費をWEB開催への変更により使わなかったため。生じた残額を次年度の物品費用に充当する。
|