2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical design of optimum composition of fluorine-based composite perovskite solar cells with moisture resistance
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19K05063
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
高羽 洋充 工学院大学, 先進工学部, 教授 (80302769)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハライドペロブスカイト / 耐久性 / 密度汎関数法 / 安定構造 / フッ素系化合物 / 耐湿性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、理論計算を用いて、フッ素系複合化ペロブスカイトの安定構造と電子構造を明らかにし、太陽電池として最適な電子物性をもつ化学組成を見出すことである。フッ素系ペロブスカイトの構造としては、B/Xサイト元素の多数候補の組み合わせ、およびそれらの複合化構造を想定し、多数の仮想的な化学組成を機械的に生成し、理論計算で網羅的に評価する。また、水分子の吸着性と反応性を理論計算で検討することで、提案構造の耐湿性を評価する予定である。 今年度の実績としては、まず、Gold Schmidt則によるフッ素系ハライドペロブスカイトの探索を行なった。Gold Schmidt則は、ペロブスカイト構造の安定性を評価する経験的指標であり、構成イオンの大きさから計算される。例えば、CF3NH3PbI3のGold Schmidt則因子は0.909でありサイズ的にはペロブスカイト構造を形成できる。低分子データベースを利用して、複合化ペロブスカイトの複数の候補組成、例えば(NH2)2CHBX3 、(NH2)2CFBX3、(B=Pb,Gd,Sn, X=I,Br,など)などの組成について、Gold Schmidt則因子を満たす組成候補リストを作成した。 リスト中の複合化ペロブスカイトの分子モデルを複数作成した。それら構造の安定性を明らかにするために、第一原理計算(密度汎関数法)の構造エネルギー最適化計算を実施し、安定構造を明らかにした。なお、密度汎関数法には平面波基底に、分散力補正した一般化勾配近似の汎関数を用いている。 さらに、バンドギャップ、バンド構造、などの電子物性として評価した。その結果、フッ素系ハライドペロブスカイトの多くの組成は、1.4eV以上のバンドギャップを持つことが明らかとなった。これはフッ素原子の原子半径が水素よりも、多きいため、B-X間の結合が大きくなるためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のフッ素系ペロブスカイトの構造を作成し、安定構造を密度汎関数法で明らかにすることができた。また一部の構造については、水との相互作用計算を実施し、耐湿性に関する知見を得た。これは、計画に基づくものである、おおむね順調に推移していることの根拠である。ただし、電子構造の検討の結果、フッ素系ペロブスカイトの構造のバンドギャップは大きく、太陽電池で最適と考えられている1.4eVを実現することは難しいことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
電子構造の検討の結果、フッ素系ペロブスカイトの構造のバンドギャップは太陽電池で利用するには大きいことが明らかとなった。そこで、今後は、最適なバンドギャップをもつ構造の探索を目的として、計画書にも記載されている複合化ペロブスカイトに注目して検討を勧めていく予定である。複合化による構造の歪みがバンドギャップの変化にどのように影響するかについても系統立てた検討を行う予定である。また、研究計画に則り、欠陥の生成エネルギー評価や、外部分子(水)との反応性の理論評価についても実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費で購入予定だった高速演算用コンピュータの代わりに、演算用コンピュータ4台を購入したが予定より安価だった。そのため、差額が生じた。差額分は翌年に回し、別途演算用コンピュータを購入する予定である。また、3月末の学会旅費が、コロナ渦で中止になり不用となったことも影響した。
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