2020 Fiscal Year Research-status Report
Conductive nanodiamond particle for aqueous supercapacitor
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19K05064
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 剛史 東京理科大学, 理工学部先端化学科, 准教授 (00385535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 電気化学キャパシタ / ナノダイヤモンド / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、2019年度の検討にて最適化した条件で作製した導電性ボロンドープナノダイヤモンド粒子(BDND)を用いた積層セルの作製および評価を実施した。チタン箔を集電体とするBDND電極を作製し、積層型のパウチセルを作製した。パウチセルにおいても1 M H2SO4中で1.8 Vの大きなセル電圧の印加が可能であり、水溶液系で電位窓の広いBDNDの特徴が維持されていることが確かめられた。また、サイクリックボルタンメトリー(CV)において、1000 mV/sの高速掃引でもCV形状は大きく崩れておらず、BDNDの高い導電率に基づく高出力特性が期待される。さらに、電解液を10 M NaClO4としたときには2.8 Vのセル電圧を印加することができた。10 M NaClO4を用いたパウチセルでは、大きなセル電圧に基づいて、活物質重量あたりで10 Wh/kgの高エネルギー密度と1000 W/kgの高出力密度を示した。以上の検討より、BDNDを電極材料とし、高濃度NaClO4水溶液を電解液とすることで、高エネルギー密度かつ高出力密度の水系電気二重層キャパシタ(EDLC)を作製できることが示された。 また、BDNDを用いた水系EDLCの高容量化を目的として、アントラキノン化合物によるBDNDの表面修飾を試みた。電子線グラフト重合法によるポリ(メタクリル酸グリシジル)修飾、さらに2-アミノアントラキノン(AAQ)との反応によるアントラキノン導入を行った(AAQ-BDND)。AAQ-BDNDのCVでは、アントラキノン基に由来する酸化還元ピーク対が見られたが、容量は未修飾のBDNDを用いた場合よりも減少した。これはAAQ層の過剰な被覆による比表面積の減少が原因と考えられるため、今後の条件の最適化が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に最適化した条件で作製したBDNDを用いて、積層型のパウチセルを作製することができた。BDND:バインダー比など、集電体への塗工条件について詳細に検討し、BDNDの特性を損なうことなく、EDLCを作製できる条件を得ることができた。特に、高濃度NaClO4水溶液を電解液とすることで高エネルギー密度かつ高出力密度の水系EDLCを構築できることが示されたことにより、高性能水系EDLCの開発の指針を得ることができた。AAQによるBDNDの表面修飾に関しては、予定通り実施し結果を得ることができた。しかし、十分な特性を得ることができなかったため、反応条件の再検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、BDNDを用いた高エネルギー密度かつ高出力密度を示す水系EDLCデバイスを試作することができた。今後は、耐久性を含めたデバイスの特性を詳細に評価し、本デバイスの有用性を明らかにする。また、表面修飾による高容量化についても引き続き検討し、高容量な電極材料が得られたら、EDLCデバイスを作製して評価を行う。
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