2022 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム散乱と計算シミュレーションを併用した燃料電池材料の局所構造乱れの解明
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19K05070
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| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
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Principal Investigator |
井川 直樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (60354833)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹神 克明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (10313115)
飯久保 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40414594)
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員 (50354832)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 局所乱れ / 燃料電池材料 / 中性子回折 / 結晶構造 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
カーボンニュートラルを推進するための主要な手段の一つに水素の活用がある。燃料電池はそのための重要な技術であり、一層の普及加速のためには 燃料電池の出力密度向上、耐久性向上、高信頼性といった性能向上が求められている。そのためには燃料電池を構成するイオン伝導性固体電解質材料の高性能化が必要であり、電池材料の構造変化やキャリアイオンの挙動を解明することが重要になってきている。
本課題では、X線や中性子線などの量子ビームによる結晶構造解析手法と第一原理計算手法を組み合わせることで、燃料電池を構成する固体電解質材料の局所構造乱れと水素の伝導経路を解明することを目的とする。
重水素を導入したBaIn0.5Sn0.5O2.75、BaSc0.5Sn0.5O2.75およびBaY0.25Sn0.75O2.875固体電解質の中性子回折実験を行い、中性子結晶PDF解析を実施した結果、局所的な酸素-水素間の距離は、およそ0.97 Åと求められた。これを基に、Rietveld法/最大エントロピー法解析によって平均構造中での水素の伝導経路を可視化できた。上述の結果を第一原理計算シミュレーション計算にフィードバックし、中性子回折・構造解析結果にて得られた燃料電池用固体電解質材料の結晶構造をほぼ再現することが可能となった。BaIn0.5Sn0.5O2.75のシミュレーション結果では本来は同じ結晶サイトを占有するはずのIn3+とSn4+ではその周りの酸素との距離はd(In-O)=2.18Å、d(Sn-O)=2.08Åとなり、イオン半径の大きな3価カチオンの方がその距離が長くなることから局所的に平均構造からの乱れが発生することを見出した。また、水素原子を酸素原子の近く1Å程度の距離に配置した場合において、よりエネルギーが低く安定な構造をとることも分かった。
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