2019 Fiscal Year Research-status Report
転位を考慮した結晶塑性モデルによる圧延板の異方性予測技術の開発
Project/Area Number |
19K05078
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 健吾 静岡大学, 工学部, 准教授 (70436236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 塑性異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧延によって製造された板は,方向によって材料特性が異なる異方性を有している.塑性加工シミュレーションを用いた試作レス化の実現のためには,異方性の予測精度をもう一段階向上させる必要がある.円板から円筒容器を深絞りする際に,異方性に起因して容器の縁に山と谷が発生する.このような部品形状に悪影響を及ぼすな因子であり,世界中で活発に研究されている. 本研究では自動車用材料として実用化されている6000系アルミニウム合金板を対象として,単軸引張よび二軸引張を実施した.単軸引張では,流動応力およびR値を測定した.圧延方向から圧延直角方向まで15度ごとに試験片を切り出すことで,これらの特性値の異方性を明らかにした.次に二軸引張試験は圧延方向と圧延直角方向の荷重比を4:1,2:1,4:3,1:1,3:4,1:2,1:4の7通りに設定した実施した.これによって板面内に作用する応力比が変化することで発現する異方性を測定することができた.これらの実験計画は当初計画していた通りの内容であり,研究は順調に進んでいる. 上記の実験の結果,単軸引張より得たR値は圧延,圧延直角方向が高く,45度方向で最小となる下に凸の形であった.流動応力も同様に下に凸の挙動であることを確認した.また,二軸引張においては,圧延方向が最大主応力となる領域において,流動応力が高くなる傾向があり,強度の異方性が確認された.一方,変形の異方性については,現在,顕著な傾向は確認できていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通りに単軸引張および二軸引張を実施することができた.これによって供試材の力学特性に現れる異方性を把握することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
X線回折を用いて供試材の集合組織を測定する.特に,板厚方向への集合組織の変化も詳細に測定するために,供試材を研磨して板厚を減少させながら集合組織を測定する.その結果は,結晶方位密度関数を求める事で,Euler空間の方位密度分布として定量的に表す. 測定した集合組織データをもとに,転位密度の発達を考慮した結晶塑性モデルによって,供試材の異方性を解析する.
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