2019 Fiscal Year Research-status Report
WB処理を用いたHCP構造材料の結晶構造制御と疲労強度におよぼす双晶の影響評価
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19K05084
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
南部 紘一郎 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20610942)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疲労強度 / HCP構造 / 組織制御 / 双晶 / 表面改質処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネシウム合金AZ31に対してウェットブラスト処理を実施し,組織観察を行うとともに疲労強度特性におよぼす影響について検討した.ウェットブラスト処理は,アルミナ粒子(50マイクロメートル)を使用し,投射圧力0.2MPaおよび0.3MPa,処理時間20secで実施した.また,比較のために,ウェットブラスト処理と同じピーニング強度となる条件でショットブラスト処理を実施した. ウェットブラスト処理を施すことにより,表面近傍の硬さが向上し,疲労強度向上効果があることを確認した.また,従来のショットブラスト処理と比較して疲労強度が向上していることを明らかにした.この要因として,ショットブラスト処理と比較して投射材の埋没が少ないことが考えられる. EBSD解析による結晶構造評価を行った結果,表面近傍において投射圧力を変化させた場合でも表面組織において双晶が見られなかった.このことから,今回の処理条件では双晶の発現に必要な塑性変形が得られていないと考えられる.一方で,結晶粒内のひずみは増加していたことから,硬さの増加はひずみの増加によるものと考えられる. 双晶割合を変化させるためには,本条件よりも大きな塑性変形を与える必要があるが,ウェットブラスト処理後の表面は,塑性変形の増加に伴って表面粗さが増加する.マグネシウム合金は表面粗さの増加が疲労強度低下に大きく影響を与えるため,ウェットブラスト処理だけでは双晶の影響のみを評価することが難しい.そこで,今後の検討として,表面粗さを一定にして双晶割合を変化させる手法として,機械加工の一つであるバニシング加工を実施し,双晶が疲労強度におよぼす影響について評価を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定において,ウェットブラスト処理のみで双晶割合を変化させ研究を進める予定であったが,初期処理条件において双晶割合を変化させることができなかった.また,マグネシウム合金の疲労強度が硬さや組織よりも表面粗さの影響が大きいことが明らかになった.これらの要因から双晶が疲労強度におよぼす影響を評価するためには,ウェットブラスト処理以外の処理を検討する必要が生じたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,表面粗さを一定にして双晶割合を変化させる手法として,ローラバニシング加工を導入する.ローラーバニシング加工の加工量を変化させることで,双晶割合を変化させ,疲労強度におよぼす双晶割合を評価する.その結果をもとに,双晶と表面粗さの制御を行うために多段ウェットブラスト処理を導入し,実用可能な表面改質処理として提案する.
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Causes of Carryover |
計上していた残留応力装置のレンタル費用が厚意により無償で貸して頂けることになったためである.翌年度分として,ローラバニシング加工用ツールの購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)