2021 Fiscal Year Annual Research Report
トレーサー粒子の追跡による超硬合金の熱間加工挙動の実験的解明
Project/Area Number |
19K05086
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
高澤 幸治 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (20331952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 廣樹 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00547961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超硬合金 / 熱間加工 / トレーサー粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はトレーサー粒子を含む超硬合金素材の作製条件の検討を行った.具体的には,遊星ボールミルを用いて任意の配合比のタングステンカーバイド粉末,コバルト粉末およびアルミナ粉末を湿式混合し,その混合粉末を放電プラズマ焼結装置を用いて種々の条件で焼結し,得られた焼結体の組織および硬さを評価した.一般的な超硬合金(WC-Co合金)の組織の中に,トレーサー粒子としてのアルミナ粒子が均一に分散したもの(WC-Co-Al2O3合金)を作成でき,それを熱間塑性加工した後もアルミナ粒子が分解せずに存在していることを確認した.また,元素マッピングを用いない単純な2次電子像でもトレーサー粒子の認識がある程度可能であり,追跡作業が容易になることを見い出した. 2020年度はトレーサー粒子を任意の範囲に配置することを試みた.結果的には,円柱状あるいは角柱状焼結体の高さ方向に,トレーサー粒子を含む層(WC-Co-Al2O3合金)と含まない層(WC-Co合金)とが交互に積層配置した超硬合金素材を作成することが可能であった. 2021年度はトレーサー粒子を均一分散させたもの,およびトレーサー粒子を含む層と含まない層とを交互積層した超硬合金素材について熱間塑性加工を行い,変形後の断面組織を観察することで,塑性変形挙動を推察した.一軸プレスによる圧縮加工では,円柱および角柱状の素材の上下面にプレス用の黒鉛型が接触し,そこが加圧面ならびに通電加熱電極として作用する.その接触面近傍の超硬合金組織においては加工過程を通じて大きな変形は生じない一方,それ以外の部分が大きく変形することがわかった.また,加工過程で圧縮応力が増加すると思われる領域では,それ以外の領域へ超硬合金の結合相であるコバルトが押し出される傾向が認められた.すなわち,超硬合金の熱間塑性変形は,主に結合相金属の流動に依存していることがわかった.
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