2021 Fiscal Year Annual Research Report
高速気流噴射急冷法によるニオブアルミ超伝導線の創製
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19K05088
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
菊池 章弘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50343877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Nb3Al / 極細線 / ジェリーロール法 / 通電加熱 / ガス急冷 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ガス冷却による冷却速度向上のための極細線の試作に取り組んだ。これまで、外径50ミクロンのジェリーロール法Nb/Al前駆体線では、数~数十メートル程度の長さでしか確保が困難であった。短尺線では高速で移動させながらの連続処理は難しい。従って、長尺化を図るための前駆体線材の断面デザインの最適化に取り組んだ。ジェリーロールの巻き芯にはタンタルやニオブを用いていたが、線材の外皮と同じ無酸素銅に変えることで伸線加工性が著しく改善することを見出した。これにより、1,000メートル級の長尺極細線の試作に成功した。さらに一層の極細化も進めて、外径17ミクロンの絹糸よりも細いジェリーロール法Nb/Al前駆体線の試作にも成功した。ただし、17ミクロン線材はまだ数十メートルと短尺である。従って50ミクロン径の長尺極細線を利用して連続通電加熱及びガス冷却処理の実施を試みた。リールからリールへの巻き替えは問題なかったが、通電加熱中の断線が頻繁に発生した。断線原因は加熱処理中のテンション制御がうまく行えていないことが原因として考えられる。処理線材が極細化したことにより、線材強度は著しく小さくなり、微妙な張力変化でも破断に至る。特に通電加熱時には線材は軟化するためにさらにテンション制御は複雑化して難しくなる。処理線材の極細化を達成することはできたが、連続通電熱処理を実施するには高精度にテンション制御が行える装置開発が必要であることが判明した。これらの結果を踏まえて、今後、改良型の連続熱処理装置の開発に取り組みたい。一方で、従来報告例のない超極細のNb/Al前駆体線では、NbとAlの拡散距離が短くなるために熱処理温度の低下や熱処理時間の短縮が図れる可能性がある。従って、本研究で開発した超極細線の最適熱処理条件について改めて検討する余地があり、実用化に向けて大変興味深い。
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[Journal Article] Ultra-Fine Nb3Al Mono-Core Wires and Cables2021
Author(s)
Akihiro Kikuchi, Yasuo Iijima, Shigeki Nimori, Masaru Yamamoto, Masahiko Kawano, Motoyoshi Kimura, Jun Nagamatsu, Masato Otsubo, Ataru Ichinose, and Kiyosumi Tsuchiya
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Journal Title
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
Volume: 31
Pages: 1~5
DOI
Peer Reviewed
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