2020 Fiscal Year Research-status Report
Production of titanium thin film through the reaction at the interface between molten salt and liquid rare earth metal
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19K05105
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関本 英弘 岩手大学, 理工学部, 助教 (50613519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チタン / 溶融塩 / 界面反応 / 偏析 |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンイオンを含有するフッ化物系溶融塩と液体セリウムとの界面反応試験を行い、チタン薄膜の作製可能性を調べた。熱力学計算および予備実験から、フッ化物溶融塩中にNaFやKFといったリチウム以外のアルカリ金属フッ化物が含まれると、液体セリウムによって還元されることが分かった。そこで、チタン原としてフッ化チタン酸リチウムを採用することとした。 ヘキサフルオロチタン酸と炭酸リチウム、フッ化水素酸を混合したのち、蒸発乾固することでフッ化チタン酸リチウムが得られた。次にこれをチタン製るつぼに入れ、ステンレス鋼製密閉容器内で熔融したのち徐冷することでLiF-35mass%TiF3溶融塩の凝固体が得られた。これとフッ化リチウムを、モリブデン製るつぼに入れた液体セリウム上に投下し、温度900℃で12時間保持して反応させたこの後、温度700℃まで徐冷したところ、LiF-CeF3系溶融塩と金属セリウムとの間に膜厚0.04mm程度のチタン薄膜が生成することを確認した。液体セリウムと反応させる溶融塩中のフッ化セリウム濃度が大きい場合、液体セリウム表面にCeF3またはCeOFが生成し、薄膜状のチタンは得られなかった。 LiF-CeF3-TiF3系溶融塩へのTi2O3の溶解度を、チタンをカソード、黒鉛をアノードとして分解電圧を測定することによって調べた。結果、Ti2O3を添加したLiF-CeF3-TiF3系溶融塩中の酸化物イオン濃度は極めて小さいことが示唆された。これは、CeOFが生成したためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶融塩と液体希土類金属との界面反応と徐冷偏析を組み合わせることでチタン薄膜を作製できることを実証できた点でおおむね順調に進展していると考えている。一方、CeF3を含有する溶融塩中の酸化物イオン濃度が極めて低いことが示唆される結果が得られた。これは、黒鉛をアノードとしてCO2ガスが発生するアノード反応を用いた溶融塩電解が困難であることを示唆している。そこで、溶融塩電解によるセリウムの生成については方針転換が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
LiCl-LiF-TiF3系溶融塩とセリウムとの反応によってチタンの薄膜が生成する現象についてより詳細に検討する。溶融塩の組成やチタン塩の濃度、反応温度、反応時間によって膜厚の制御が可能か調べる。
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