2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Method to Measure Heat Generated by Exothermic Sleeves for Steel Castings
Project/Area Number |
19K05107
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 弘道 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (70168946)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 鋳造 / 発熱スリーブ / テルミット反応 / カロリメトリー / 熱物性測定 / ブンゼン氷熱量計 / 鋳造シミュレーション / 湯流れ |
Outline of Annual Research Achievements |
鋳造用スリーブは鋳造における熱制御に大きな役割をもつ。しかし、その発熱量を現場における急速な昇温状態下で測定する方法は開発されておらず、その量は不明である。このため鋳造の正確な数値伝熱シミュレーションが困難となっている。そこで発熱スリーブを現場と同様な条件で加熱し発熱量を測定する氷熱量計を開発する。令和1年度は、以下の二つのユニットを開発した。1)急速な昇温状態下でスリーブの発熱現象を生じさせるユニット、2) 1)のユニットを内部に組み込むことが可能な、発熱量を計測するブンゼン氷熱量計の原理を応用した熱量計 1)については発熱スリーブをニクロムリボンで巻き耐火煉瓦で周囲を覆った容易に分解・組み立てができるユニットを作製した。ニクロムリボンに投下電気量を計測できる給電装置を接続した。試料はニクロムリボンにより急速加熱され、試料に含有されるアルミニウムと酸化鉄の反応で発熱する。試料内部に熱電対を埋め込んだ実験を行い試料の昇温、着火、発熱、燃焼の修了、温度降下の過程を観察し、この結果をもとに以下のブンゼン氷熱量計を開発した。 ブンゼン氷熱量計は中央部から、発熱部、その回りの氷と水を入れた水槽、さらにその回りの氷点の恒温槽の3つの部分からなる。発熱部の回りの水槽の氷の溶けた量を融解に伴う体積膨張から測定する事により熱量を計測する。令和1年度はこの熱量計の設計、作製と動作確認を行った。装置の精度を検証するため中央部のユニットに様々な温度の水やエタノールを投入し、とけた氷の量を密閉した水槽に設置した水柱の水位の高さの変化として測定し、熱量を算出した。得られた熱量は投入した熱量と良い線形関係を示したが絶対値は予測される値の半分程度となった。最終的に容器が水柱の水圧によりごくわずかな量だけ変形することに気がつき、装置を再作製し、実験を行い作製した装置が熱量計として充分に動作することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度は、実験時の容器内の水圧により実験容器に目に見えない程度のごくわずかな歪みが生じ、これが実験全体の精度を著しく低下させるという想定外のトラブルがあり、原因の究明に時間を要した。しかし容器全体を作り替えることによりこの問題は克服できた。これにより精度の高い実験が安定してできるようになった。今後順調に実験は進行すると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
内部の発熱ユニットおよびそれを組み込むブンゼン氷熱量計のユニットは完成した。今後はこの二つを実際に組み合わせて以下のような実験を行う。 1)加熱した水や銅を入れて中央のユニットに投入し熱量測定を行いさらに熱量計の精度の検証を行う。 2)発熱ユニットに、発熱スリーブの代わりに1500℃まで加熱し室温まで冷却したアルミナ煉瓦を入れ、給電装置から電力を投入し熱量測定を行う。アルミナ煉瓦は熱的に不活性であるため給電装置から投入された電力がそのまま氷熱量計で計測される熱量となる。投入する電力の条件を系統的に様々に変化させて実験を行う。ゆっくりと電力を投入すると熱リークにより正確な測定が困難となる。また電圧を急速にかけるとヒータの温度が上がりすぎヒータの溶損により測定が困難になる。投入した電力と氷熱量計で計測された熱量を比較することにより装置が、どのような範囲で信頼性の高いデータを出すことが可能であるかを検証する。 3)精度の検証を行った装置により発熱スリープの発熱量の測定を行い正確な発熱量を求め、発熱の機構を考察する。 4)さらに簡便な計測を可能とするためブンゼン氷熱量計を用いず、銅の厚板で発熱ユニットを覆った簡便な装置を開発し、銅の温度上昇量から発熱量の概略を求めることの可能性をさぐる。
|
Research Products
(2 results)