Establishment of a method for minimizing gas defects in die castings manufactured through high-pressure die casting

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K05108
• Research Institution: Gifu University
• Principal Investigator: 新川 真人 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30369912)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 鋳造 / ダイカスト / 圧力伝達 / 固相率 / 鋳造欠陥 / 鋳造方案 / アルミニウム合金

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，高圧鋳造法（ダイカスト法）において，金型内に溶融金属を流入させ，加圧しながら凝固させる過程における圧力の付加プロセスのメカニズムを解明し，得られる鋳造製品の内部の空孔を最小化させるための具体的手法について検討することを目的としている．2020年度は，ダイカスト実験を実施し，ダイカスト中の金型内圧力変化を測定するとともに，得られた製品に発生した欠陥との関係を考察した．
本研究の目的を達成するため，凝固進展状況を意図的に変化させる必要がある．そこで，金型の表面処理に着目し，表面処理無し，および3種類の表面処理を適用することによって，測定した圧力の変化から凝固進展状況を推定した．
ダイカスト実験の結果，金型内に配置したセンサにより溶湯充填挙動，圧力負荷挙動を推定することができた．また，その測定結果より，表面処理による凝固進展状況に違いがあることも明らかとした．得られた製品中の欠陥を測定した結果，鋳造条件は一定であるにも関わらず内部の欠陥量と体積に違いがあった．
また，溶湯の充填-圧力負荷-凝固進展の様子をコンピュータシミュレーションにより計算を行った．その結果，充填挙動が測定結果とほぼ一致していたことから，センサによる金型内現象の評価は妥当であったと考えられた．また，その計算結果から溶湯内の圧力変化を計算し，実験的に得られた圧力変化挙動，および製品中に発生した欠陥量との関係を評価した結果，本実験に使用したAl-Si系合金における圧力伝達が停止する固相率はおよそ63-70%であることを明らかとした．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画段階で，2年度に圧力伝達を評価する手法を考案するとともに，それを用いたダイカスト実験を予定していた．その結果，溶湯内の圧力変化をひずみにより評価するとともに，凝固進展挙動を推定することができた．また，充填過程のひずみの変化はコンピュータシミュレーションによる湯流れ解析の結果とほぼ一致していた．このことより，本研究で考案した圧力伝達の実験的評価手法は有効であることと考えられた．また，金型への表面処理により凝固の進展挙動を変化させることができた．このことは，極めて短時間で充填～凝固が完了するダイカストにおいて，金型内の凝固進展挙動を制御し，現象を理解するうえで有益であると考えられる．

Strategy for Future Research Activity

2年度の成果により，圧力伝達が停止する固相率を推定することができた．この結果を受けて，以下について検討をする予定である．1) 鋳造欠陥を小さくする鋳造方案の検討とその一般化，2) 鋳造合金の組成と圧力伝達が停止する固相率との関係の検証
1点目については，コンピュータシミュレーションをもとにした検討を行う．ダイカストにおける充填開始から凝固完了に至るまでの過程を詳細に検証し，そのなかで凝固進展に特に影響を及ぼす因子について検討をする．2点目については，これまで使用していたアルミニウム合金（ADC12）とは異なる組成を使用し，実験的に検討する．

Causes of Carryover

計画段階で3年度は660千円をしていた．当初予定していた購入品が自作で対応できることが判明したためその差額分が加わったが，おおむね計画どおりに執行している．