2022 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリンによる元素選択的貴金属回収メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K05109
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 啓晃 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (90249954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / 包接 / 貴金属回収 / ガルバニック置換 / 可視・紫外光 / 吸収スペクトル / 軟X線 / 硬X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
「シクロデキストリンによる元素選択的貴金属回収メカニズム」を解明するため、シクロデキストリン(CD)に包接された金属錯体の吸収スペクトルを測定し、包接前後の電子状態の変化を調べ、貴金属回収過程におけるCDの添加効果を明らかにすることを目的として本研究を行った。 令和4年度は、令和3年度に引き続き「ガルバニック置換反応」に着目して研究を進めた。4臭化金酸カリウム(KAuBr4)を水に溶解して作成した溶液にNi板を浸漬すると、AuBr4-がNiとガルバニック置換し、Auが析出される。可視・紫外吸収スペクトルの時間変化を調べ、析出速度を求めた。β-,γ-CDを添加することにより、析出速度が無添加のときと比べて 1/3~1/4 程度に遅くなるという結果は既に前年度までに得られていた。本年度はβ-CDの水酸基をすべてメチル化したmethyl-β-CDを新たに用いることによって、析出速度が無添加のときと比べて 1/10 程度まで遅くなることが分かった。したがって、添加するシクロデキストリンの種類を変えることにより、水溶液中からの金の析出速度を比較的自由に制御できることが明らかになった。 最後に研究期間全体を通しての成果について簡単に述べる。シクロデキストリンによる貴金属包接前後の電子状態の変化を調べるために、軟X線吸収および硬X線吸収スペクトルを測定し比較を行った。また、貴金属回収過程における動的メカニズムを解明するために、ガルバニック置換反応を利用してさまざまなCDによる添加効果を調べ、析出反応(金回収反応)を制御できることが明らかになった。
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