2022 Fiscal Year Annual Research Report
非水溶液電析を用いる構造を制御した熱電変換薄膜の作製
Project/Area Number |
19K05111
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 宏明 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (40326301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非水溶液電解 / 熱電変換材料 / 電析法 / 亜鉛-アンチモン合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
エチレングリコール(EG)を溶媒に用い,塩化亜鉛(ZnCl2),および塩化アンチモン(SbCl3)を添加したEG-ZnCl2-SbCl3非水溶液を調製し,浴組成および電解条件を詳細に検討しZn-Sb系熱電変換材料の電解作製を試みた.EG20.00 gに対して浴中の金属塩総濃度(ZnCl2 + SbCl3)が15 mol%である浴を基本浴とし,浴中のZnCl2とSbCl3のモル比を50:1~500:1とした浴を調製して,50 A・m-2の定電流電解を行ったところ,浴中のSbCl3濃度を低くすることでZn-Sb系電析物の組成を制御できる可能性を見出した.また,ZnCl2とSbCl3のモル比を500:1とした85.00 mol%EG-14.97 mol%ZnCl2-0.03 mol%SbCl3浴において電流密度50~500 A・m-2で定電流電解を行ったところ,電流密度の増加に伴い電析物中のSb含有量は低下(Zn含有量は増加)し,500 A・m-2において得られた電析物の組成は77.85 mol%Zn-22.15 mol%Sbであった.浴中のZnCl2とSbCl3のモル比,および電解電流密度を制御することで様々な組成のZn-Sb2成分合金が得られることが分かった.なお,この浴において,325 A・m-2で電解すると,目的としたZn4Sb3の化学量論組成に近い57.34 mol%Zn-42.66 mol%Sb合金が得られることを明らかにした.この合金薄膜に温度差を与えたところ,正の起電力が得られp型の熱電変換特性を有することが分かり,そのゼーベック係数は55 μVK-1であった.本研究で得られた電析物は粉末で密着性が低い傾向にあり,さらに電析条件を詳細に検討し,Zn4Sb3の組成に近い平滑な電析物が得られれば,ゼーベック係数が向上すると考えられる.
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