2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the relation between the formation of pores and the crystal growth during sintering of the non-oxide-based porous ceramics
Project/Area Number |
19K05115
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北 憲一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20586581)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セラミックス / 繊維 / 炭化ケイ素 / ポリマーアロイ / 溶融紡糸 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭化ケイ素繊維の原料ポリマーであるポリカルボシラン(以下、PCS)に対して、熱分解性ポリシロキサンの一種であるポリメチルフェニルシロキサン(以下、PMPhS)、ポリメチルヒドロシロキサン(以下、PMHS)、ポリシラエチレン(以下、PSE)および熱硬化性のポリシルセスキオキサン(以下、PMSQ)を混合し、内部に酸素が均一に存在する繊維形状の試料作製を試みた結果、PCSとPMPhS、PMHSおよびPSEの組み合わせでは、各ポリシロキサン含有量の増加につれて同温度での粘度が低下する一方、PCSとPMSQでは粘度が増大し、溶融紡糸が不可であった。この結果は、異種ポリマーの混合による新規性能の発現を獲得するポリマーアロイという観点からすると、大変興味深い結果である。 上記の結果を踏まえ、PCS-PMPhS、PCS-PMHS、PCS-PSEについて溶融紡糸を行い、不融化後に焼成した繊維の特性を調査した結果、PCS単体より作製した炭化ケイ素繊維よりも収率向上や紡糸最適温度域低下等の効果が確認された。また、PCS-PMHSおよびPCS-PSEの場合ではポリマーの水素飽和状態を形成し、そこから紡糸することにより繊維断面の中央部に単一孔を有する中空炭化ケイ素繊維の作製に成功した。これは、以前報告された「紡糸時の水素脱離が繊維断面に空孔を形成する」という仮説を補強する内容であり、学術的にも重要な知見である。 PCS単体、PCS-PMPhS、PCS-PMHSの各繊維にて酸化不融化処理を行い、1300~1500℃で焼成した繊維断面をTEM/EDSおよび電子線回折にて分析した結果、いずれの繊維においても結晶粒成長は確認されなかった。一方、繊維内に存在するメソ孔周辺には酸素元素が多く存在したことから、繊維内の多孔質形成には炭化ケイ素の結晶生成は無関係であり、酸素拡散およびその熱分解にて形成すると推察された。
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