2020 Fiscal Year Research-status Report
炭酸カルシウム系シングルソースマルチターゲット吸着剤の開発
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19K05117
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
山中 真也 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30596854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 和紀 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (50709516)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アモルファス炭酸カルシウム / メソポーラス炭酸カルシウム / アパタイト / 難溶性物質 / フェルラ酸 / 重金属イオン / カドミウム |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファス炭酸カルシウムコロイドの相転移と自己組織化を利用したメソポーラス炭酸カルシウムの合成に関する基礎研究から、メソポーラス炭酸カルシウムを各種吸着剤として利用する応用研究へ展開するために、本年度は、(1)炭酸カルシウムの多形(カルサイト、バテライト、アラゴナイト)が重金属イオンの吸着能に及ぼす影響を調べた。(2)比表面積の異なるメソポーラスカルサイト粒子に難溶性物質であるフェルラ酸などを担持して、その溶出特性を調べた。 (1)同程度の比表面積を有するカルサイト型、およびバテライト型の他に当初予定していなかったアラゴナイト型の炭酸カルシウムを用いて、カドミウムイオンの吸着量を調べた。具体的には、結晶多形の割合や結晶子サイズがカドミウムイオンの吸着量に及ぼす影響を検討した。また、各種吸着等温線や吸着速度論に関するデータ解析を行い、粒子特性とカドミウムイオンの吸着特性に関する評価を実施した。 (2)比表面積が30~200 m2/gのカルサイト型メソポーラス炭酸カルシウムにフェルラ酸を担持して、フェルラ酸の担持状態と溶出特性を調べた。その結果、溶出量はフェルラ酸原末に比べて担持試料の方が多くなり、また比表面積の高い試料ほど多くなった。蛍光測定により、フェルラ酸がどのような構造で炭酸カルシウムに担持されているのか推定した。さらに、機能性食品分野への展開を狙い、他の代表的なポリフェノール系難水溶性物質としてクルクミンを用いる検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、多孔性炭酸カルシウムの構造と吸着剤としての機能を明らかにして、実際的な用途を提案することである。2年度目に計画した研究項目は、(1)各種重金属イオンへの拡張、(2)他の難水溶性薬物への拡張や、機能性食品分野への応用展開をそれぞれ研究することであり、研究実績の概要で述べたとおり、ほぼ予定どおり進めることができた。 さらに、(2)については当初最終年度(2021年度)での実施を予定していた機能性食品分野への応用展開について研究成果をまとめるに至った。以上の理由により、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
核生成はすべての結晶化プロセスの始まりである。古典的核生成理論が、1926年にVolmerとWeberによって発表され、核生成現象を定性的に正しく記述できる理論として定着している。ところが、理論値と実験値が桁で異なるなど不完全な部分や謎も多く、今なおホットトピックである。計算科学や観察手法の進展により、20世紀末ごろから、結晶成長プロセスの原子レベルでのダイナミクスが徐々に明らかになり、古典的理論に対するNon-classicalな概念として整理されつつある。現代の結晶化プロセスは、「クラスターに原子がひとつずつ付着して大きくなる」と考える古典的理論と、「粒子同士の重合によって結晶化する」と考えるNon-classicalな概念の2方向から研究が進められている。 申請者が提案している多孔性炭酸カルシウムの合成機構は、アモルファス炭酸カルシウム粒子の重合により“多形”と“細孔”が形成されることから、前述のNon-classicalな概念で説明できると考えている。したがって本研究は、骨形成、貝殻形成に代表されるバイオミネラリゼーション、結晶工学分野とも関連する。今後は、当初計画にある環境浄化剤や機能性食品分野への展開に関する研究の他に、アモルファス炭酸カルシウムの形成ダイナミクスやそれを中心とする多物質への展開についても研究する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] 消毒効果が見える!まきやすい!長持ちする!粒状消石灰2020
Author(s)
山中真也, 上井幸司, 徳樂清孝, 中野浩幸, 中野誠一, 西川雄亮, 野村孝義, 澁谷直樹, 矢嶋健太, 山田雄大, 片山貴志
Organizer
アグリビジネス創出フェア
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[Presentation] 鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化2020
Author(s)
山中真也, 上井幸司, 徳樂清孝, 中野浩幸, 中野誠一, 西川雄亮, 野村孝義, 澁谷直樹, 矢嶋健太, 山田雄大, 片山貴志
Organizer
「知」の集積と活用の場 産学官連携協議会「令和2年度ポスターセッション」
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