2020 Fiscal Year Research-status Report
気液液固四相流の数値解析を用いた液架橋による乾燥粒子薄膜のクラック抑制機構の解明
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19K05122
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石神 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70595850)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フェーズフィールドモデル / 四相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度構築した気液液固四相流れの数値シミュレーションモデルを用いて,単一粒子が自由界面を衝突・通過する際のダイナミクスについて検討を行った。容器内に気相,油相,および水相の計3種類の流体を充填しておき,その上方から粒子を自由落下し,2種類の自由界面に衝突および通過させる数値シミュレーションを実施した。ここでは,粒子運動および自由界面運動に対する接触角と流体組成の影響について系統的に検討を行った。 数値シミュレーションの結果,四相流れの体系の計算においても,既往の種々の三相流れ(粒子,気相,液相)の論文(例えば,M. Do-Quang et al., Phys. Fluids, 21, 022102 (2009))で報告されている通り,粒子が自由界面を通過する際に形成される自由界面のキャビティ形状が接触角により顕著に異なり,定性的には従来研究と傾向が良好に一致することがわかった。粒子と自由界面の下側の流体との親和性が高い場合(粒子と自由界面の下側の流体との接触角が低い場合)には,上方(気相-油相)の自由界面で形成されたキャビティの変形が伝播し,下方(油相-水相)の自由界面におけるキャビティの形成に顕著な影響を及ぼすことがわかった。一方,粒子と自由界面の下側の流体との親和性が低い場合(粒子と自由界面の下側の流体との接触角が高い場合)には,粒子に2種類の自由界面が吸着することがあり,その際には流体組成および粒子に作用する毛管力のバランスにより,特異的な粒子挙動のモードが発現することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気液液固四相流の数値シミュレーションモデルのプログラム開発に当初計画より時間を要したため,十分に検証実験を行うことができなかった。新規性の高いシミュレーションモデルの開発のため,いくつかの予期せぬ問題に直面した。現状は定性的には妥当性を検証できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発したシミュレーションモデルの定量的検証を行う。ここでは,昨年度実施した単一粒子の自由界面への衝突シミュレーションと同じ条件で実験を行い,粒子挙動や自由界面の変形挙動をハイスピードカメラを用いて撮影を行う。粒子速度を実験とシミュレーションで比較することにより,定量的に検証を行うことが可能となる。 次に,気液液固四相分散液流れの乾燥シミュレーションを行う。ここではまず,第二流体(架橋流体)有無の影響について検討を行う。第二流体有りと無しの場合でシミュレーションを行い,得られる微構造や自由表面の変形挙動について比較を行う。また,粒子流体組成が微構造形成に及ぼす影響についても系統的に検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は,シミュレーションモデルの妥当性検証に手間取り,当初予定するはずだった実験を実施することができず,次年度へと持ち越しとなった。2021年度は,2020年度実施予定だった検証実験の費用に当該費用を計上するとともに,シミュレーション用計算サーバの購入,学会参加費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)