2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of adsorption mechanism of Wetting/ Non-wetting adsorption phenomenon
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19K05125
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀河 俊英 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (90380112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 吸着 / 吸着メカニズム / wetting/non-wetting / 吸着熱 / 吸着シミュレーション / キャラクタリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、あらゆるプロセスの省エネルギー化・高効率化が求められ、分離技術においてもその例外ではなく、多角的な視点から研究が進められている。天然ガスから二酸化炭素、メタン、BTX、水蒸気などの分離精製技術として気相吸着分離技術が適用される。これら吸着分離性能は適用する吸着剤と吸着質の相互作用、吸着分離温度などに大きく依存し、それら吸着メカニズムを詳細に理解することが非常に重要である。吸着メカニズムのより良い理解が、より高分離性能を有する吸着剤の設計・製造を可能とし、また、高精度吸着シミュレータの開発に大きく寄与する。本研究では炭素系吸着剤のような吸着質と非常に強い相互作用を示す吸着剤から、ポリマーのように吸着質と弱い相互作用を示す吸着剤への非極性、極性吸着質の吸着挙動を50K-常温の温度範囲において測定し、吸着等温線と吸着に伴う吸着熱、また吸着シミュレーションの情報を融合することで、各吸着剤への吸着質が示すWetting/Non-wetting吸着挙動の有無とその吸着メカニズムの解明を目的として研究を遂行中である。 (Ⅰ)吸着質-吸着剤相互作用の強弱による吸着挙動:吸着剤に高炭素化グラファイト(高相互作用)、アモルファスカーボン(低相互作用)を適用し、アルゴンと窒素の吸着挙動を詳細に検討し、相互作用の強弱による吸着挙動の違いについて明らかにした。 (Ⅱ)非極性・極性吸着質の吸着挙動:吸着質にメタノールを適用し高炭素化グラファイト表面への常温から低温下における吸着挙動を観察し、非極性分子との吸着挙動の違いおよび吸着温度の影響を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画とした(Ⅰ)吸着質-吸着剤相互作用の強弱による吸着挙動、(Ⅱ)非極性・極性吸着質の吸着挙動、の2項目についてそれぞれ一定の成果を得た。 (Ⅰ)吸着質-吸着剤相互作用の強弱による吸着挙動:吸着質-吸着剤相互作用の強弱を変化させるために吸着質にアルゴンまたは窒素を適用し、吸着剤として炭素表面の炭素密度に違いがある高炭素化グラファイト(高相互作用)およびアモルファスカーボン(低相互作用)を適用した。相互作用の強弱は吸着初期における大きく異なる吸着挙動を与え、吸着質の吸着構造にも影響を与えることを明らかとした。 (Ⅱ)非極性・極性吸着質の吸着挙動:吸着質に極性分子であるメタノールを適用し高炭素化グラファイト表面への広温度域における吸着挙動を詳細に観察した結果、凝固点近傍の低温下ではグラファイト表面で形成するメタノール吸着層の構造が制限され吸着量が常温時の吸着量と比較して大幅に減少すること、さらに、そのメカニズムについて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
(I) 吸着質-吸着剤相互作用の強弱による吸着挙動、(Ⅱ)非極性・極性吸着質の吸着挙動、この2つについて、広吸着温度域における極低圧部からの吸着測定、吸着シミュレーションによる吸着挙動の観察を行う。吸着測定データから吸着等温線の解析、吸着熱の算出を行い吸着現象の検討を行う。また、吸着シミュレーションデータとの比較により、実験的なマクロスコピックな検討からマイクロスコピックな検討が可能となり、より詳細な吸着挙動の理解が可能となる。(Ⅲ) 吸着メカニズムの解明、(Ⅰ), (Ⅱ)で得られた知見から、Wetting/Non-wetting吸着挙動の有無とそのメカニズムを明らかにする。(Ⅲ)の検討により、不足する(Ⅰ), (Ⅱ)を随時洗い出し、効率的に測定と検討を繰り返す。
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Causes of Carryover |
年度末からの日本国内および世界中へのCOVID-19の感染拡大に伴い、参加予定であった学会のキャンセルや購入予定であった物品が購入できないなどの事態のため、次年度に僅かながら予算を繰り越す結果となった。 次年度へ繰り越した金額が少額であることから、本研究で使用する消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(12 results)