2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of carbon dioxide / hydrocarbon separation and recovery process using protic ionic liquids
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19K05130
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
児玉 大輔 日本大学, 工学部, 准教授 (50307807)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン液体 / 二酸化炭素 / 炭化水素 / 選択性 / 溶解度 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化対策技術の一つとして、二酸化炭素を分離回収し、地中に隔離貯留するCCS技術の開発が進められているが、現状の技術では、吸収液再生時におけるエネルギー消費が著しい。一方、天然ガス採掘の井戸元で炭化水素を分離回収する際、不要な二酸化炭素と同時に、天然ガス液中のエタンやプロパン、イソブタンなどの大半が回収され、分離も困難である。本研究では、新規ガス吸収液(プロトン性イオン液体)の二酸化炭素及び炭化水素の溶解メカニズムや選択性を解明するとともに、平衡物性・輸送物性・熱物性との関連性を解明する。また、プロトン性イオン液体を利用した二酸化炭素/炭化水素分離回収プロセスの実現を目的に一連のテーマに取り組んできた。 例えば、高いガス分離選択性を指向したプロトン性イオン液体、カウンターパートとなる非プロトン性イオン液体を合成し、二酸化炭素と炭化水素の溶解度について、主として高圧磁気浮遊天秤を利用して幅広い温度・圧力範囲で測定し、イオン液体のカチオン及びアニオンの構造、カチオンのプロトン性有無などがガス選択性に及ぼす影響についての検討をした。さらに、イオン液体のアニオン構造の相違が密度・粘度・ガラス転移点に及ぼす影響や二酸化炭素を吸収した際の発熱量など熱力学的な解析も進め、二酸化炭素/炭化水素分離回収プロセスの設計・操作に必要な実験データを蓄積した。一連の研究成果については、化学工学会第51回秋季大会や第11回福島地区CEセミナーなどで発表し、現在、論文投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響によって学内への入構禁止・制限が続き、予定していた実験の一部を実施できていない。具体的には、当初計画していたプロトン性イオン液体、カウターパートとなるイオン液体の合成を一部ができていないことに伴い、ガス溶解度を始めとする物性測定に遅れが生じている。一方、2020年度後半から、少しずつ研究活動が正常化し、ガス分離選択性などの検討も進み、論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)プロトン性イオン液体の合成および溶解度・選択性:ガス分離選択性を指向したプロトン性イオン液体のガス溶解性やガス分離選択性について、二酸化炭素だけでなくエタンやプロパン、イソブタンなどC2~C4炭化水素ガスについて、高圧磁気浮遊天秤・体積可変型溶解度測定装置を利用し、様々な温度・圧力条件下において幅広く検討を進める。 (2)プロトン性イオン液体-ガス系の密度・粘度:プロトン性イオン液体の密度・粘度の測定には、約10 mLと従来の測定装置と比較して極僅かな液体試料によりガス共存下における密度や粘度だけでなく、Synthetic法に基づき沸点圧力を決定可能な密度・粘度・ガス溶解度同時測定装置を利用する。 (3)プロトン性イオン液体-ガス系の熱物性:ガス吸収塔設計に必要不可欠なプロトン性イオン液体の二酸化炭素や炭化水素共存下における過剰エンタルピーをカルベ式熱量計で測定し、発熱メカニズムを解明する。得られる測定データに基づき、エンタルピーやエントロピーと溶解度データとの関連性を摂動理論に基づくPC-SAFT式で解析し、ガス吸収分離装置の設計に反映させる。 (4)プロトン性イオン液体-ガス系のプロセスシミュレーション:プロセスシミュレータAspen Plusを利用し、プロトン性イオン液体の二酸化炭素/炭化水素分離回収プロセスにおけるエネルギー効率などプロセス全体の評価を進める。
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