2021 Fiscal Year Research-status Report
スラリーの粘度低減効果に及ぼす微小粒子添加時の液体条件および添加条件の影響
Project/Area Number |
19K05131
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉田 幹生 同志社大学, 理工学部, 教授 (60444650)
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Project Period (FY) |
2021-01-01 – 2023-03-31
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Keywords | スラリー粘度 / 粘度低減効果 / 微小粒子添加 / 相互作用力変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高濃度スラリーの粘度を低減する方法の1つとして微小粒子を添加する方法がある。しかし,本方法は粘度が増加する場合もあり,その低減メカニズムの詳細は不明な部分も多い。この理由の1つとして,本方法のほとんどの報告がスラリー中での粒子の相互作用力や接触状態を詳細に議論できていないことが挙げられる。そこで,本研究では,相互作用力や接触状態を議論しやすくするため,球形かつ比較的粒子径の揃った粒子を用いて,粒子条件,液体条件,スラリー調整条件を系統的に変化させて粘度測定を行うことにより,微小粒子添加時のスラリー粘度低減効果の主要因とそのメカニズムを検討する。 本年度は,主にスラリー調整条件を変化させて検討した。スラリーの分散質にはほぼ単分散の球形シリカを用い,分散媒には蒸留水を用いた。主粒子の粒子径は2.5 μm,添加微小粒子の粒子径は0.1 , 0.3 , 0.5 μmの3種類を用い,添加割合は1.0 vol%とした。また,スラリー調整の前処理条件として,前処理なし,超音波照射(主粒子と微小粒子に同時),超音波照射(主粒子のみ),超音波照射(微小粒子のみ),乳鉢混合の5条件で比較した。その結果,スラリー調整の前処理を行うと,スラリーの粘度低減効果が増加する傾向が確認できた。しかし,その中でも,超音波照射(主粒子のみ),超音波照射(微小粒子のみ)の2条件において,特に大きな粘度低減効果が生じることが示された。類似の条件である超音波処理(主粒子と微小粒子に同時)において低減効果が制限された理由として,主粒子と微小粒子を共に入れた状態で超音波処理を行うと,微小粒子が主粒子表面に付着しにくく,最終的に主粒子間に介在しにくくなるためだと示唆された。また,添加微小粒子の粒子径が大きいほどその低減効果が高いことも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの検討により,主粒子に対する微小粒子の粒子径比,微小粒子添加割合,主粒子体積濃度,スラリー調整条件がスラリー粘度低減効果に及ぼす影響を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
スラリーは粒子と液体の組み合わせにより,そのスラリー粘度特性が大きく異なる。現在までの検討において,スラリーの分散質には球形シリカ,分散媒には蒸留水を用いた場合,特定の微小粒子添加条件で粘度低減効果が発現することが確かめられたが,この発現条件は粒子と液体の組み合わせにより変化すると考えられる。そこで,今後は,主に液体の親疎水性に着目し,粒子と液体の組み合わせ条件がスラリー粘度に及ぼす影響について検討する。合わせて,粘度低減メカニズムに大きく影響を与える粒子間の相互作用力を理解しやすくするため,原子間力顕微鏡を用いたコロイドプローブ法により各液体中におけるシリカとシリコンウエハー基板の相互作用力を測定する。また,微小粒子の被覆状態を変化させたスラリーの数値計算を行い,粘度低減メカニズムの検討を行う。
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Research Products
(2 results)