2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of practical simulator to design crystallization and surface reaction process in supercritical fluids
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19K05132
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
本間 哲雄 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10369910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 健 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10611163)
秋月 信 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (30707188)
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (60375524)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核生成 / 晶析 / 臨界核 / 密度汎関数法 / 亜臨界水 / 超臨界水 / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実機での課題発見・解決に必要な晶析・表面反応機構を模倣するために、分子シミュレーションと離散要素法(DEM)を活用した核生成・表面反応過程を模擬する実用シミュレータを開発し、実機レベルでのナノ粒子生成や固体表面反応過程を可視化して、製造プロセスの知見・設計指針の提供に資することを目的とした。 上記の目的を達成するために、本研究では、まず晶析・表面反応過程を分子レベル(量子化学計算、分子シミュレーション)で解明して、晶析モデル構築に必要なミクロ物性値の取得(核生成に必要な活性化エネルギーや臨界核径)を目指す。続いて、分子レベルでのミクロ物性値をメソスケールでの核生成モデルへ適用するために、DEMへ適用できる核生成モデルを開発し、晶析・表面反応過程を模倣する実用シミュレータの開発を目指している。 これまでに、メソスケールシミュレーションに適用する核生成モデルの構築のために、DFT計算で水中での幼核・臨界核のモデル化を試みたが、作成した結晶構造が理想的なために自由エネルギーが妥当な範囲の値を取ることが困難であった。 また、実験的には回分式反応器を用いたZnO系の亜臨界水中でのナノ粒子合成を行い、Ribeiroらによる結晶核成長モデルに適用して、初期粒子径の算出を行った。得られた初期粒子径は数百ナノメートルオーダーであり、また、温度増大に伴って増加する傾向がみられた。 令和2年度では、幼核や結晶核が欠陥を持った構造を持ち、結晶化過程で溶媒を排出しながら核生成すると考え、分子シミュレーションを活用して溶媒分子を明示的に取り込んだ核生成過程のシミュレーションを行い、結晶化過程を模擬することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、メソスケールシミュレーションへ適用できる核生成モデルを構築するために、水溶液中でのDFT計算から水和自由エネルギーの粒子サイズ依存性を求め、幼核・臨界核の生成自由エネルギーやサイズの算出を試みた。DFT計算から求めた水和自由エネルギーは負の方向に単調減少したため、結晶は常に安定に存在することを示唆し、臨界核を求めることが困難であった。臨界核の生成自由エネルギーおよびサイズが算出困難であったのは、量子化学計算でモデル化した幼核・臨界核が理想的な結晶構造であったためすべての粒子径範囲において結晶化エネルギーが支配的になり、自由エネルギーが負の方向に単調減少したためと考えた。 そこで令和2年度では、溶媒を明示的に取り込んだ臨界核を想定し、分子動力学法を用いて臨界核のモデル化と自由エネルギー計算から結晶化過程を模擬した。対象系に25 ℃と300 ℃におけるZnO粒子を対象として行ったところ、核生成過程を模擬し、25 ℃での核生成過程は緩慢であるのに対して、300 ℃では速やかに核生成することを明らかにした。しかしながら、核生成過程の自由エネルギーや濃度依存性については、結果の吟味が必要であり今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶核生成過程のモデル化のために核生成に係る活性化エネルギーと臨界核サイズの決定が重要である。令和3年度では、これまでに実現できた分子・原子レベルでの核生成過程から発展させて、メソスケールでの核生成過程のモデル構築を目指す。続いて、構築した核生成モデルを離散要素法へ適用して、均一核生成過程及び不均一核生成過程を模倣する。
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Causes of Carryover |
核生成過程のモデル化に時間を要したため、計算機用消耗品の次年度使用が発生した。核生成過程は模擬できたため、模擬のための計算に使用する消耗品を揃えるべく予算執行する。
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Research Products
(1 results)