2020 Fiscal Year Research-status Report
Monitoring and control of two-phase slug flow in microdevices with multi-channels
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19K05140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
殿村 修 京都大学, 工学研究科, 助教 (70402956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロリアクタ / 制御・モニタリング / スラグ流 / ナンバリングアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロデバイスの特徴は流路寸法を大きくすると失われるため,流路のナンバリングアップ(並列化)によりデバイスの処理量が増大される。本研究では,気液二相スラグ流を伴う多流路デバイスを対象とする。スラグ流は,混ざり合わない流体が交互に流れる流動状態であり,従来デバイスよりも界面積が一様で大きく,かつ,スラグ内で循環流が生じることから,高い物質移動速度をもたらし,反応の高い空時収量を示す。その実用化に向けて,ナンバリングアップによる量産化技術,スラグ生成周期やスラグサイズが希望値を達成しているか,異常によりそれらがシフトしていないか,といった制御・モニタリング技術の方法論の構築が本研究の目的である。 2020年度(令和2年度)は「多流路デバイスの気液二相スラグ流生成周期・サイズの制御・モニタリング」に取り組んだ。構築したモデルの予測精度を実験で評価したところ,流体供給部の抵抗値が小さくなるにつれて予測精度が低下した。流体挙動などを改めて解析し,気体圧縮性に由来する気体供給部への液体の侵入を表現する項を流体混合・スラグ生成部のモデルに追加し,さらに,スラグ界面に由来する圧力損失項をスラグ流動部の圧力損失推算モデルに追加した。そして,流量や流体供給部の抵抗値が異なる10条件に対して検証実験を行い,実測値と再構築したモデルの予測値の差が6%以内に収まることを確認した。さらに,シミュレーションにより,流体分配器のフィード部で得られる圧力データの周波数解析結果に基づいて多流路のスラグ生成周期を推定できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成に向け,研究実施計画通り,順調に進展している。研究実績欄に記載したことに加え,再構築したモデルを用い,均一なスラグ流生成周期・サイズを達成するデバイスの流路抵抗設計指針を作成した。流路抵抗値を変更しながらシミュレーションを繰り返し,多流路間のスラグ流のばらつきの指標として定義した相対標準偏差(E)を算出した。スラグ流動部の圧力損失に対する流体供給流路の圧力損失の比(R)が1.5~10であるとき,流体供給流路抵抗値を下げていくとEは10%程度まで上昇することがわかった。Rが10~30であるとき,流体供給流路抵抗値を上げてもEはなだらかにしか低減されず,0.5~2%の間を推移することが示された。Rが30以上であるとき,Rはほぼ0%となった。また,液体供給流路抵抗を大きくするよりも,気体供給流路の抵抗を大きくした方がEを低減させるのには有用であるという結論が得られた。さらに,流路数の増加に伴って,Rが1.5~10であるとき,Eが大きくなる,すなわち,あるEを達成するのに必要な流体供給流路抵抗値が大きくなることが示された。このように,研究実施計画の項目をクリアしている。以上より,区分(2)を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度(令和3年度)は「スラグサイズシフトのモニタリング」に取り組む。スラグ生成部より下流のスラグ流動部において,相間物質移動によりシフトするスラグサイズを推定する。流路幅が変化した部分をスラグが通過する際にフィード圧力に振動が生じるという研究代表者の予備検討結果を踏まえて,スラグ流動部に狭隘部を設け,得られたフィード圧力変化を解析することで,スラグサイズシフトをモニタリングする。モニタリング性能を向上するため,狭隘部のサイズ,数,設置位置について最適設計を行い,実験で検証する。
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Causes of Carryover |
当該年度において,導入予定の多流路デバイスの製作を進める過程で,設計に用いるモデルの改良の必要性が生じた。そこで,スラグ流生成・流動の観察・解析のしやすさを考慮して,流路数を2に設定し,既存の3Dプリンタを用いてデバイスを製作した。こうした経緯から次年度使用額が生じた。次年度,多流路デバイスを製作し,高流量タイプの流量制御装置を導入する計画のため,これらに次年度使用額を充てる。
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