2019 Fiscal Year Research-status Report
Novel preparation of enzyme-entrapped silica nanocapsule using sugar nanoparticle as sacrifice matrix
Project/Area Number |
19K05141
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松根 英樹 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10380586)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ナノカプセル / シリカ / 酵素固定化 / 触媒反応 / グルコースオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体由来の機能性分子である酵素は人工物では成し得ない優れた反応および触媒特性を示す.これらを適当な担体に固定すると,工学的な取り扱いが容易になるため,多様な用途へ展開できると期待される.しかし,担体へ固定化する操作時に高温や有機溶媒にさらすと酵素は直ちに変性を起こし,機能や活性が失われてしまうという問題がる.酵素が機能を維持できる反応条件は範囲が狭く,固定化するのは容易でないため,成功例は限られている.現在,広範な担体に適用できる,全く新しい固定化法の開拓が求められている.そこで本研究では,酵素などの生体機能性分子を多様な担体に変性を防ぎつつ固定化できる新しい方法の構築を目的とした.具体的には,酵素をあらかじめ糖の集合体に埋包させて保護した上で担体に封入することで,酵素の劣化を防ぎつつ,担体との複合体を構築することを検討する. 当該課題の研究期間初年度にあたる令和元年度は,固定化の対象である酵素にグルコースオキシダーゼ(GO)を選択し検討した.化学的に無害と考えられる糖で包んで保護した上で,被膜を施しカプセル化してGOを失活させずに担体へ封入することを検討した. 広範な糖分子で検討した結果,特定の糖分子を用いることで酵素を固定化したカプセルを得ることに成功した.カプセルから糖を水で洗出後,カプセル内で遊離したGOの反応活性を調べると十分に反応が進行することが分かり,活性を維持していることが分かった.膜材の被覆時に反応溶媒として有機溶媒を用いているにも関わらず,系内のGOは失活しなかった.そのことから糖による保護が効果的であることが示めされる.今後,多様な酵素を用いたり,多様な材料で被膜を施すことで,工学的に有用な酵素固定化担体の開発を進めていく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度に目標とした,酵素を封入したカプセルの調製法を新たに見出すことに成功した.しかし,こうして封入した酵素がどれくらい活性を維持しているか,反応速度論的解析を行うことで評価することまでを当初の計画として予定していたが,酵素の保護法の探索やスクリーニングに手間取り,比較的時間と労力が要求される反応速度論的解析を後回しにした.そのため,当初の目標にまで到ることはできなかった.今後は,反応速度論的解析を優先課題として取り掛かり,糖による保護の効果の定量的な評価を進めることが課題である.同時に,本来は広範な種類の酵素を対して本方法論を適用し,汎用性を実証することも重要であると考えている.今回はグルコースオキシダーゼ(GO)のシリカカプセルしか調製できておらず,さらに検討を進める必要があると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は下記の点を重点的に順次,検討を進めていく. 1)カプセルに内包された酵素の反応速度論的な解析と評価,2)調製時の反応条件と酵素活性との関係性の評価および方法論の最適化,3)多様な酵素種を用いた酵素封入カプセルの調製,4)工学的用途を目的とした酵素封入カプセルの開発と応用 当初,酵素だけでなくDNAやRNAなどの核酸の封入も同時並行して検討する計画をしていたが,酵素の封入が予定通り成功したため,まずは酵素カプセルを優先して重点的に研究する.これによって本方法論を確立させ,より工学的に有益な材料の開発ならびにその指針となる学問の構築を検討していく.
|
Causes of Carryover |
当初,令和元年度に調製した材料の反応速度論的解析を予定しており,そのための費用を計上していたが,材料の調製までにとどまり,定量的な速度論的解析まで進むことができず,その課題解決は次年度に持ち越した.同時に,幅広い酵素に対して本方法論を適用して,汎用性を確認し,方法論として確立する必要がある.しかし,酵素や試験の試薬は高価であるため,次年度まで予算を確保しておく必要があった.そのため次年度使用額が生じた.
|
Research Products
(2 results)