2020 Fiscal Year Research-status Report
有機-無機ハイブリット材料からなる新規な貴金属フリーアンモニア合成触媒の開発
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19K05146
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉田 曉弘 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (30514434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / 有機ー無機ハイブリット触媒 / 金属水素化物 / 共役系高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが開発中の水素化リチウムと共役系高分子材料の複合体は、温和な条件で窒素を活性化できる活性なリチウム種を生成するため、地球人口を支える重要な物質であるアンモニアの合成における消費エネルギーを低減可能な新たな触媒として期待される。初年度の取り組みにより、水素化リチウムとポリ(p-フェニレン)からなる複合体について、窒素と水素からのアンモニア合成活性を検討し、実際にアンモニアを生成することを明らかとした。さらに、この複合体にTiを添加することで活性がおよそ10倍に向上することを明らかとし、またTiの添加量に最適値が存在することを明らかとした。しかし、依然として触媒活性は他の報告例と比較して不十分であったことから、更なる触媒活性向上につながる添加元素の探索を行う必要があると考えられた。 本年度は、H2の活性化に寄与しうるTiとは対照的に、窒素の活性化能を持つことが知られるFeやCoを本複合体に添加し、活性の向上を試みた。その結果、Co添加時に触媒活性がCo無添加時の約100倍、Ti添加時と比較しても約10倍向上することを明らかとした。Co添加に使用する前駆体についても複数種を使用したところ、前駆体によって触媒活性向上の効果が異なっていた。これは、触媒上におけるCo種の存在状態や粒子径が異なるものと推測される。しかしながら、触媒上におけるCo種の存在状態を解析すべく、XRD測定、TEM測定を行ったが、いずれの分析方法からも触媒上におけるCo種の化学種や粒子径についての情報は得られなかった。今後の更なる活性向上のためにCo種の状態解析が最終年度の課題となることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、水素化リチウムと共役系高分子材料の複合体からなる触媒による窒素と水素からのアンモニア合成活性を増大させることを目的としている。今年度の取り組みの結果、Co添加によりアンモニア合成活性の著しい向上が起こることを明らかとした。さらに、今後の更なる高活性触媒合成の方法解明につながる課題も明確化されており、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Co種の添加により触媒活性がCo無添加時の100倍と劇的に向上することを見出した。しかし、Co種の添加に用いる前駆体種により触媒活性の向上効果が異なっていたころから、触媒上に形成されるCo種の化学種や粒子径といったファクターに活性が依存しているものと推測された。今年度の検討では、これらのファクターについての解明にまで至らなかったので、最終年度は各種分析法を駆使して、Co種の存在状態と触媒活性の相関を明らかにすることで、更なる高活性触媒に求められる条件を明らかにすることを目指す。また、昨年度に活性向上効果を持つことが明らかになったTiとCoを共担持した触媒を合成し、二元的な促進効果による高活性触媒の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に関連して学会がオンライン開催されたため、関連の交通費支出がなく繰り越しが生じた。繰り越し分については、次年度の実験に必要な試薬やガスの購入に充当し、精力的な実験を実施する。
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Research Products
(1 results)