2022 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属類の単核サイトに基づく新奇な触媒機能を有するゼオライト触媒の創製
Project/Area Number |
19K05154
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
今井 裕之 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70514610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゼオライト / 遷移金属元素 / 脱水素反応 / 貴金属 / アルカン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,金属元素をゼオライト骨格中に導入することで,特異な化学的性質を発現するゼオライト触媒を開発し,アルカンの脱水素/脱水素環化反応に応用する。本年度は,触媒反応の原料として用いるアルカンの炭素数を変え,脱水素/脱水素環化反応における触媒性能を検討した。亜鉛含有ゼオライトに白金を複合させた触媒を用いることで,n-ペンタンからシクロペンタジエンが主生成物として得られた。n-ペンタンからシクロペンタジエンの生成における触媒の役割を検討するために,変換過程での生成が予想される各種の化合物を原料として触媒反応を行ったところ,n-ペンタンの脱水素でペンタジエンが生成,続いて環化を通してシクロペンテンが生成,脱水素を経て最終的にシクロペンタジエンが生成する一連の過程を経ること,そして,環化の過程で障壁が高いことを見出した。 全体を通して,ゼオライト原料の熟成と水熱合成を組み合わせることで,各種の遷移金属類を含有したゼオライトの直接合成に成功した。中でも,亜鉛含有ゼオライトがブレンステッド酸点を有さないことから,炭化水素の骨格異性化や分解,さらには重合反応を引き起こさず,アルカンの脱水素を選択的に引き起こすことを見出した。また,白金の複合により脱水素反応の活性が大幅に向上することを見出した。この傾向は,炭素数4のn-ブタンから炭素数8のn-オクタンまで反応原料に用いるアルカンの炭素数には依存せずに見られ,原料分子の炭素数を維持したまま選択的に脱水素が進行する。さらに,炭素数が5以上のアルカンでは,脱水素で生成したオレフィンの環化と脱水素が連続的に進行することを見出した。ゼオライトを基盤として金属複合体を構築することで,付加価値の低いアルカンの炭素数を保持したまま付加価値の高いオレフィン類や芳香族化合物に直接的に変換できることから,各種の炭素資源の高付加価値化への応用が期待される。
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