2020 Fiscal Year Research-status Report
Liquid-phase synthesis of fine Pt-based catalysts by ustilizing organic stabilizer and carbon surface functional groups for improvement of oxygen reduction activity
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19K05158
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
久貝 潤一郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80617134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 智史 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90432517)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 窒素ドープ炭素 / 官能基 / ナノ粒子 / 酸素還元 / メタノール酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素を導入した炭素に白金-ルテニウムを担持し、炭素担体への窒素導入の効果を評価した。ホスフィン酸を保護剤として添加し液相法で調製すると微細な白金-ルテニウムが得られる。これに低温で水素処理を施すと粒子径や形状は変わらないまま白金-ルテニウム合金の結晶化が進み、メタノール酸化活性が著しく向上して市販触媒よりも低い貴金属担持量で高い活性を示すことを見出した。一方、窒素ドープ炭素に担持した白金-ルテニウム合金においては触媒活性に対する低温水素処理の効果は小さく、炭素への窒素ドープによる金属粒子の熱的特性、化学特性への影響が示唆された。また、水晶微小天秤法を用いて白金の表面上での保護剤の吸脱着挙動とナノ粒子に対する保護効果の相関を調べ、カルボキシレートが白金表面を被覆するのに対し、ホスフィン酸は電気二重層構造を変えることで粒子構造や形状の制御に寄与することを見出した。 窒素ドープ炭素の原料である含窒素有機化合物と遷移金属塩の組み合わせと、炭素の物性、酸素還元特性との相関についても昨年に引き続き詳細に調べた。原料混合物の熱重量分析を行ったところ、含窒素有機化合物として同じアミノキノリンを用いても、遷移金属源として塩化鉄を共存させた場合は揮発と分解による重量減少が広い温度域にまたがるのに対し、酢酸鉄を共存させた場合は低温域でアミノキノリンの一部が揮発した以外に重量減少がほとんどなく高温域でも窒素が炭素中に保持され高い酸素還元活性を示した。遷移金属源と含窒素有機化合物の配位構造が窒素ドープ炭素中の窒素量とその局所構造に影響することがわかった。この結果を踏まえ、窒素ドープ炭素を金属有機構造体(MOF)から得る方法も検討に加えた。MOFから得られた触媒は酸素還元反応において拡散限界電流に達する電位が高く、活性点(窒素部位)の密度が高められることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素への窒素ドープと白金-ルテニウム合金の構造やメタノール酸化活性との相関を調べる過程で、低温水素処理を施すことで触媒活性が著しく向上することを見出している。炭素表面の官能基と白金の相互作用を見積もる方法として、目的の官能基を含む小分子の白金表面での吸脱着挙動を水晶微小天秤法で探るアプローチを考案し、実際に種々の官能基を含む保護剤分子の吸脱着特性が異なることを確認した。また、炭素材料の合成においては含窒素有機物の遷移金属への配位状態が窒素導入過程や導入量を支配すること、MOFを原料に用いると窒素部位が増加して高い電位で拡散限界電流に達することを見出し、炭素表面の改質の手段と範囲を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素表面物性とその上に担持した白金の構造および電子状態の関係を体系的に調べる。炭素表面の物性については塩基特性だけでなく質量分析計を用いて昇温脱離測定を行い含酸素官能基も識別定量する。MOFへの遷移金属の添加方法を変えて表面窒素の高密度化を図る。表面改質した炭素上の白金の電子状態を一酸化炭素ストリッピング法で評価し、通常の炭素に担持した白金と比べて顕著な差が認められる試料についてはX線光電子分光法でさらに詳細に調べる。水晶微小天秤法を用いて炭素表面の官能基を含む小分子の白金表面上での吸脱着挙動を調べ、炭素の表面官能基が白金系粒子構造に与える影響を探る。また、小分子存在下で酸素還元反応を行うことにより、酸素吸着の阻害要因や白金上の酸素吸着サイトの解明を試みる。
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Causes of Carryover |
窒素ドープ炭素の表面窒素、酸素の量と化学状態および白金の化学状態を調べるために近隣施設のX線光電子分光装置を用いる予定であったが、他の安価な分析手法で見積もられることから、試料を絞り込み次年度に分析をすることにした。次年度はX線光電子分光装置利用料、電気化学測定の消耗品(カーボン電極、水晶微小天秤のセンサー)に使用する計画である。
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