2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of orthgonal liposomal fusion method using artificial phospholipids and its application
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19K05160
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 雄吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50273214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 秀雄 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00237348)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工リン脂質 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞間やリポソーム間の融合は、細胞工学やリポソーム工学において重要な要素技術である。一般に同種小胞間の融合は異種間融合よりも起こりやすいが、異種小胞間での融合を人工リン脂質を用いて誘導できれば有用である。本課題では1.極性頭部に修飾を施した人工リン脂質を合成し、それを含有するリポソームにおいてリン脂質間の共有結合による直交型融合、2リポソーム上にタンパク質を結合させ、タンパクータンパク相互作用を利用したリポソーム融合を試み、異種間直交型融合を確立を目的とする。
極性頭部にアジド基あるいはアルキン基を導入した人工リン脂質を合成した。2種の人工リン脂質は緩衝液中でクリック反応が進行することが確認された。次に、アジド型、アルキン型それぞれの人工リン脂質を含有するリポソームを調製し、両者を混合してクリック反応を行った。しかしリポソーム融合を確認するには至らなかった。
リポソーム表面へのタンパク質結合のため、極性部にチオエステル基あるいはクロロアルカン基を結合させた人工リン脂質を合成した。チオエステル型リン脂質を含有するリポソームを調製し、N末端にシステインを持つモデルタンパクとN-to-S転移反応を行った。プロテナーゼKによる分解物をLC-MSで分析したところ、システインが結合した脂質を検出された。同様にクロロアルカン型リン脂質含有リポソームとハロタグタンパクとの結合実験も試みているが結合を確認するまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. リン脂質間の直接結合によるリポソーム融合 極性頭部にアジド基あるいはアルキン基を導入した人工リン脂質を酵素反応と化学反応を併用して合成できた。2種の人工リン脂質を緩衝液中で混合し銅存在下で環化付加反応を行った。LC-MS解析により予想された反応生成物を検出され、2種のリン脂質は直交的に反応することが確認できた。次に、アジド型、アルキン型それぞれの人工リン脂質を含有するリポソームを調製した。それぞれのリポソームを識別するためにGFPおよびRFPを内封した。両者を混合してクリック反応を行い、蛍光顕微鏡およびFACSで分析したが、リポソーム融合が起きたと判断できる結果は得られなかった。
2タンパク質結合型リン脂質を介したリポソーム融合 リポソーム表面へのタンパク質結合のため、極性部にチオエステル基あるいはクロロアルカン基を結合させた人工リン脂質を合成した。チオエステル型リン脂質を含有するリポソームを調製し、モデルタンパクとしてN末端にシステインを持つGFP(N-Cys-GFP)を混合し、メルカプトフェニル酢酸存在下でN-to-S転移反応を行った。反応後,プロテナーゼK処理によりタンパク質部分を分解し、LC-MSでリン脂質脂質を分析したところ、システインが結合した脂質を検出できた。このことから、N-Cys-GFPとチオエステルリン脂質が意図した通りに共有結合したことが推定された。同様にクロロアルカン型リン脂質含有リポソームとハロタグ融合RFPとの結合実験も試みているが結合を確認するまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1. リン脂質間の直接結合によるリポソーム融合 融合が確認できなかった原因として、リポソーム表面からのアジド基およびアルキン基のが近接しすぎており、リン脂質の負電荷の反発のために両リポソームが接近できない可能性がある。このため、極性頭部と反応性官能基の間にリンカー構造を挿入した新規な人工リン脂質を合成し、融合を試みる。
2 タンパク質結合型リン脂質を介したリポソーム融合 ここではタンパク質の構造を損なうことなくリポソーム表面に結合させることが第一の目的である。チオエステルリン脂質との結合は期待通りに進行したと思われるので、顕微鏡観察かFACS分析により、リポソーム上に結合していることを確定させる。一方、ハロタグタンパクとの結合を検証するため、極性部にハロアルカン、脂肪酸残基に蛍光色素を結合したリン脂質を合成し、ハロタグタンパクが蛍光リン脂質により標識されるかを検証する。
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Research Products
(1 results)