2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of orthgonal liposomal fusion method using artificial phospholipids and its application
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19K05160
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 雄吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50273214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 秀雄 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00237348)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、(1)極性頭部に修飾を施した人工リン脂質を合成し、それを含有するリポソームにおいてリン脂質間の共有結合による直交型融合、(2)リポソーム上に異種のタンパク質を結合させ、タンパクータンパク相互作用を利用したリポソーム融合を試み、異種間直交型融合の確立を目的とする。
(1) クリック反応を利用して融合を試みたが、リポソーム融合を確認するには至らなかった。そこで、1対1でのリポソーム融合を実際に観察するため、既報に報告されているマイクロデバイスを作成することにした。このデバイスはスライドガラス上に仕切り板が並び両側に電極が配置されている。仕切り板を挟むようにリポソーム溶液を注入し、交流電場を印加すると、仕切り板の隙間を挟んでリポソームが一対一で接触する。そこに直流電場を印加して両者を電気融合させるものである。現在デバイスの作成が完了し、交流・直流印加装置の準備も整ったところである。
(2) チオエステル型リン脂質を緩衝液に分散し、遊離のCysとのNCLい、脂質を抽出してLC-MSで分析したところ予想通りにNCLによりCysが結合したリン脂質の生成を確認した。次に、同様の反応をN末端Cys残基をもつGFPで行い、プロテナーゼK処理後、脂質を溶媒抽出してLC-MSで分析したところ、同様にCys結合型リン脂質の生成が認められた。この脂質はN末端Ser型GFPでは検出されなかったことから、リン脂質とN末端システイン型GFPの結合に成功したと考えられた。次にチオエステル型リン脂質を少量含むリポソームを調製し、N末端Cys型GFPとのNCLを試みた。蛍光顕微鏡観察によりリポソームの表面にGFP蛍光が観察された。一方、N末端Ser型型GFPではリポソーム上の蛍光は観察されなかった。以上のように、チオエステル型リン脂質とN末端システイン型GFPとの結合が成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質をリポソーム上に固定する新規な方法を開発することができたが、依然としてリポソーム融合には成功していない。リポソーム同士が接触する過程と、それに続く融合過程を分けて考える必要がある。前者の過程は当初計画の通りリポソーム表面でのクリックあるはタンパク・タンパク相互作用で達成できると思われるが、後者の融合は電気的な融合が有効と考えられる。このため、マイクロデバイスを用いた電気融合を行う準備を行ったわけである。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロデバイスの準備が完了したのこれを用いた電気融合を試みる。 その後、交流電場を用いない、本来の計画である、バルク状態での融合を試みる。 リポソーム融合にはアジドやアルキンのとリン酸基との間にある程度の距離が必要と考えられるため、リン脂質極性部にPEGスペーサーをもった人工リン脂質を新規合成し融合実験に供する。
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Causes of Carryover |
当初計画でのバルク状態の融合観察からマクロデバイスを用いての1対1での融合を観察をするべく方針を変換した。このためデバイスの作成や電源印加装置などの手配に時間を要し、当初予定の無細胞タンパク合成試薬などの購入を先送りしたことがが理由である。 次年度に繰り越した金額はこれらの試薬購入にに当てる予定である。
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