2020 Fiscal Year Research-status Report
バイオシリカ由来タンパク質を介した無機材料とバイオ分子を結ぶための基盤技術開発
Project/Area Number |
19K05164
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 克彦 鳥取大学, 地域価値創造研究教育機構, 教授 (90326877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美藤 友博 鳥取大学, 農学部, 助教 (20776421)
有馬 二朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (80393411)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオミネラリゼーション / シリカ / 環境調和型 / 有機無機複合材料 / マリンバイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,海綿動物カイロウドウケツのシリカ骨格タンパク質グラシンのシリカや金属酸化物に対する結合能力を評価し,特異的に結合する材料について,結合条件の最適化と溶出条件の探索を行い,これらの結果をもとに,グラシンを介した組換えタンパク質とシリカナノ粒子および金属酸化物材料との複合化についての基盤技術を確立することを目的としている.本研究課題では次の5項目について研究を実施し,目的を達成することを考えている. (1) グラシンのシリカナノ粒子への結合条件の最適化,溶出条件の探索,(2) グラシンのシリカナノ粒子への結合機構の解明,(3) グラシンの金属酸化物への結合能の有無,(4) グラシンの金属酸化物への結合条件の最適化,溶出条件の探索,(5) 成果のまとめ. これまでに,(1)について,大腸菌で発現させた組換えグラシンーGFP融合タンパク質およびGSTーグラシン融合タンパク質を用い,このタンパク質のシリカに対する結合性を検討し,特異的に結合する条件を見出した.(2)について,グラシンの3つの領域との融合タンパク質を作成し,これを用いて結合特性を明らかにしてきており,結合機構の解明が進んでいる.(3)について,酸化ゲルマニウムに特異的に結合することを明らかにし,また(4)として,その最適な結合条件を見出すことができた.酸化ゲルマニウムのタンパク質の溶出条件については,さらに検討を加える必要が残されている.今後は,それぞれの項目について,さらに詳細な解析を行うとともに,シリカおよび酸化ゲルマニウム以外の材料を対象として,結合可能な材料の探索を継続し,目的を達成し,さらに幅広い知見を積み重ねることとしたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,海綿動物カイロウドウケツのシリカ骨格タンパク質グラシンのシリカや金属酸化物に対する結合能力を評価し,特異性に結合する材料について,結合条件の最適化と溶出条件の探索を行い,これらの結果をもとに,グラシンを介した組換えタンパク質とシリカナノ粒子および金属酸化物材料との複合化についての基盤技術を確立することを目的としている.昨年度までに,大腸菌で発現させた組換えグラシン-GFP融合タンパク質を用いて,このタンパク質のシリカや酸化ゲルマニウムに対する結合性を検討する実験を行い,シリカや酸化ゲルマニウム,それぞれに特異的な結合条件を見出した.今年度は,グラシンのシリカナノ粒子への結合機構の解明,および,グラシンのシリカや酸化ゲルマニウムへの結合条件の最適化・溶出条件の探索について重点的に研究を実施した.前者については,シリカナノ粒子に結合するグラシン分子内の領域を同定することができた。また、後者についてはシリカおよび酸化ゲルマニウムからのタンパク質の溶出について,種々の検討を行い,溶出に必要な条件を見出すことができた.以上のことより,計画は順調に進行しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究課題で掲げた次の5項目について研究を継続し,目的を達成することを考えている.(1) グラシンのシリカナノ粒子への結合条件の最適化,溶出条件の探索,(2) グラシンのシリカナノ粒子への結合機構の解明,(3) グラシンの金属酸化物への結合能の有無,(4) グラシンの金属酸化物への結合条件の最適化,溶出条件の探索,(5) 成果のまとめ. R3年度については,(2)について,定性的な解析に加え,定量的な解析を行い,詳細な結合機構を改名することとする.(4)について,できるかぎり融合タンパク質の機能を保持したまま,溶出できるようさらに検討を重ねることとする.(3)についても,シリカおよび酸化ゲルマニウム以外の材料を対象として,結合可能な材料の探索を継続する.これらの実験を通じてより幅広い知見を積み重ねることとしたい.
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