2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05169
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
升井 伸治 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (20342850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 尋 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10225295) [Withdrawn]
斉藤 美佳子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20291346) [Withdrawn]
若山 照彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40360672) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの表現型は多様であるが、それらは個々の細胞の機能が組み合わさって表出されると考えられる。一般に、細胞の機能は、代表的な分子経路を制御する重要な遺伝子により大きく制御される。最近の報告から、それら重要な遺伝子の発現は、多数の他の遺伝子により制御されることが明らかとなってきた。また、ほぼ全ての遺伝子において、その発現を変化させる遺伝的多型がみつかることが示されてきた。さらに、多くの遺伝子の発現が環境要因の影響を受ける。そこで本研究では、作業仮説として、個人ごとの遺伝要因や環境要因の差異が、多数の遺伝子の発現変化を介して、代表的な分子経路の差異につながると考える。このとき、細胞非自律的に作用する遺伝子は、より多くの遺伝子に作用することで、代表的な分子経路に影響を与えることが多い可能性を検討した。上記の可能性の検討のための実験系として、代表的な分子経路の一つとして低酸素シグナルに着目し、そのレポーター遺伝子を構築した。このレポーター遺伝子の機能を確認するため、マウスES細胞に導入し、低酸素シグナルを模倣する化合物を添加したところ、レポーターのシグナルが得られた。また、細胞非自律的遺伝子の作用の検出に用いる可能性を検討するため、別種の細胞との共培養系を行ったところ、シグナルの変化を検出することができた。以上のことから、細胞非自律的遺伝子の作用を検出するための手法の一つとして、代表的な分子経路の変化を用いることが有効である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な分子経路のレポーター遺伝子について検討を行い、上手くいくものとして低酸素のレポーター遺伝子を選抜した。上記のレポーター遺伝子は、予備的な実験から、ヒトiPS細胞においても機能することが見出されており、順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトの表現型は多様であり、その多くは遺伝的多型に基づくとみられる。これらの多型の中には細胞非自律的な影響を与えるものも多いと予想される。そのため、表現型の差異から細胞非自律的遺伝子を探索するアプローチを検討する。 まず、解析のモデルとなる表現型を選択する。想定される表現型は、感染症への感受性など、臨床的に重要なものとする。続いて、上記の表現型をもつ個人を、統計学的手法を用いてヒト集団から選抜する。これらの個人から、ヒトiPS細胞を作製し、試験管内での表現型解析に用いる。網羅的遺伝子発現解析など、いくつかの解析を行い、それらの結果から細胞非自律的遺伝子を同定することを試みる。
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Research Products
(3 results)