2021 Fiscal Year Annual Research Report
人工的な複合微生物反応場の構築と難培養性微生物の取得
Project/Area Number |
19K05170
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
尾島 由紘 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20546957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フロック / 大腸菌 / アンプリコンシーケンス解析 / 活性汚泥 / 難培養性微生物 / OD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに大腸菌フロックの人工的な複合微生物化に関しては、モデル微生物の生菌数の定量評価方法の構築と、蘇生因子を放出するヘルパー微生物の定着化に成功した。また、プロテアーゼで分解されやすい問題点がある大腸菌フロックに関して、当研究グループが土壌より単離したポリグルタミン酸生産菌であるBacillus licheniformis RK14株と共培養することで、フロックの分解が抑制され、構造安定性が増加することを確認していた。そこで今年度は、複合微生物化で機能や構造安定性が向上した大腸菌フロックを足場として、難培養性微生物との共培養を行い、共生による取得を試みた.具体的には、前培養で大腸菌とヘルパー微生物であるMicrococcus luteusやRK14株の共培養により形成したフロックを回収し、民間工場排水処理施設の曝気槽に含まれる細菌群との共培養を行った。この曝気槽の活性汚泥中には、未培養系統群OD1が存在することが事前のアンプリコンシーケンス解析により明らかになっている。OD1は、ろ過膜を透過する細胞サイズを持ち、ゲノムサイズは大腸菌の10分の1程度で、遺伝子は400ほどしか持たないため、アミノ酸、ヌクレオチド、脂肪酸などの生合成が欠けているものが多く、他の生物に寄生もしくは細胞外共生体として生活していると推測されている。そこで、各種フロックとの1週間の共培養を行った後に、アンプリコンシーケンス解析により存在比率を確認したところ、どの条件においてもOD1の存在比率が極端に減少しており、共生関係を確認することはできなかった。一方で、OD1が含まれる元の活性汚泥から別途単離した酵母様真菌と共培養した際には、OD1の存在が確認できたため、今後はこの酵母様真菌も含めた複合微生物化を行うことで、OD1を安定的に共培養できるかの確認を行う。
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Research Products
(6 results)