2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction and functional control of conductive nanofibers formed from supramolecular assembly of DNA and amphiphilic molecules
Project/Area Number |
19K05177
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岩浦 里愛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (00450312)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己集合 / 導電性 / ナノシート / DNA / 電荷移動錯体 / 両親媒性脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DNAの導電性を再現性よく発現させるためにDNAと双頭型ヌクレオチド脂質分子の超分子ハイブリッド化によって構造が極めて安定化された導電性DNAナノファイバーを構築し、その導電性能を評価することを目的とする。2020年度は、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッド構造を原子間力顕微鏡により構造解析し、6 nmの厚みをもつナノシーを構造であることを明らかにした。さらに、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッドのゲル電気泳動を行い、DNAと双頭型イノシン酸脂質が複合体を形成していることを確認した。このDNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッドを含む水溶液はわずかにオレンジ色を呈した。そこで、このハイブリッド体を含む水溶液の紫外可視吸収スペクトル、蛍光スペクトル、円偏光二色性スペクトル測定を行ったところ、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッドは核酸塩基の電荷移動錯体形成により300 nm~の波長領域に吸収を有し、そのモル吸光係数は通常の二重らせんDNAの約150倍であった。さらに、この電荷移動状態からの広い発光バンドを持つため、青白色発光を示すことを見いだした。以上のことより、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッドから形成させるナノシート構造中では2次元平面上に固定された核酸塩基部位が電荷移動錯体を形成し青白色発光することが明らかとなった。核酸塩基の電荷移動錯体が形成されることはナノシートが導電性を有することを十分期待できる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は原子間力顕微鏡の不調により計画通り研究が進まなかったが、今年度はその研究の遅れを取り戻し、さらに導電性が期待できる結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
導電性を評価するため、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッド構造を静電気力顕微鏡により観察する。静電気力顕微鏡観察により、DNA/双頭型イノシン酸脂質超分子ハイブリッド構造のナノスケールでの電気分極状態を評価することができる。さらにNMR、FTIR、CDスペクトル測定など他の分光分析による構造評価も行い、これらを総括して導電性発現の可否、また導電性を発現する構造についての知見を得る。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により出張ができなかったため残額が生じたため残額が生じた。この残額とR3年度分助成金とを合わせ、物品費(主に原子間力顕微鏡、静電気力顕微鏡用の消耗品)および研究補助人件費(半年程度雇用予定)としての使用を計画している。
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