2019 Fiscal Year Research-status Report
1細胞1遺伝子1コピー発現系を利用したCHO細胞での迅速な抗体医薬作製方法の開発
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19K05178
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
長谷川 嘉則 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, チーム長 (30387683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗体医薬 / 迅速スクリーニング / 1細胞1遺伝子1コピー発現 / CHO / 遺伝子増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
短期間での機能的な抗体の取得は、タンパク質発現に関する各種遺伝子実験への利用はもとより抗体医薬を使用した治療目的にも求められている。本研究の目的は、実際の抗体医薬の大量生産に最も多く使用されているCHO細胞において、迅速な機能的抗体取得方法を確立する事である。かずさDNA研究所の特許技術である新規の部位特異的組換えシステムを利用した1細胞へ1種類の遺伝子をしかも1コピーだけ効率的に挿入する方法を活用して、CHO細胞において抗体ライブラリーのスクリーニングを行う系を完成させ、スクリーニング後にスクリーニングしたその細胞を用いて抗体の大量合成まで行う方法を確立する。また、抗体遺伝子の挿入箇所にヒト人工染色体(Human artificial chromosome, HAC)ベクターを利用する。HACベクターはホスト細胞の染色体からは独立して安定に複製分配されるので、遺伝子増幅の影響をHACベクター上だけに限定することができ、さらに増幅した抗体産生遺伝子搭載HACベクターをヒト汎用細胞株であるHEK293へトランスファーを行うことも可能になる。本年度は、まず最初に、1つの細胞に1つの遺伝子を1コピーだけ効率的に挿入するために、かずさDNA研究所の特許技術である部位特異的組換えサイト「VloxPサイトおよびSloxPサイト」を、HACベクター上に構築した。さらに、VloxPサイトおよびSloxPサイト保有HACベクターを、遺伝時増幅が可能なCHO dhFr-株へトランスファーを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず最初に、1つの細胞に1つの遺伝子を1コピーだけ効率的に挿入するために、かずさDNA研究所の特許技術である部位特異的組換えサイト「VloxPサイトおよびSloxPサイト」を、HACベクター上に構築した。迅速な抗体スクリーニングを行うために、VloxPサイトとSloxPサイトの間にDsRed遺伝子を挿入した。さらに、VloxPサイトおよびSloxPサイト保有HACベクターを、遺伝時増幅が可能なCHO dhFr-株へトランスファーを行った。CHO dhFr-株に導入したHACベクターは、ホストの染色体からは独立しており、複数回の細胞分裂後も安定に保たれていた。10^9以上のNaive単鎖抗体ライブラリーを業者に発注を行い、納品されている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、CHO dhFr-株内のHACベクターへ、Naive単鎖抗体ライブラリーの導入を進める。この過程、確実に「多種類のNaiveライブラリーを1細胞に1コピー保有したCHO細胞ライブラリー」を作製出来るかどうかが、本課題が成功するかどうかの大きな鍵となる。最低でも、最低でも1.6 x 10^8種類以上のライブラリーを確保する。そのために、最初に、本ライブラリーに対して、VloxPサイトおよびSloxPサイトを使用した効率的なdual RMCE (recombinase-mediated cassette exchange) 法の条件検討を徹底的に行う。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していた「必要なCHO細胞の培養に使用するウシ胎児血清(FBS)をまとめて購入する」を行わなかったため、大幅に金額の余りが生じた。次年度に、FBSを購入する。
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