2023 Fiscal Year Annual Research Report
形状、粒径、物性に多様性を持った貴金属ライクな純銅ナノ粒子の触媒への応用
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19K05187
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 中央大学, 理工学部, 教授 (40312251)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銅ナノ粒子 / ゼオライト / ナノ多孔質 / 触媒効率 / PNIPAM / 熱応答材料 / 光熱変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
銅ナノ粒子は、還元による合成が難しいだけでなく、合成されたナノ粒子が容易に酸化されやすいため、純銅ナノ粒子を得るのは一般には困難であった。こうした純銅ナノ粒子について、光還元法を駆使して構造多様性をもたせた合成法の確立を行ってきた。 2023年度は、とりわけ反応性が高くなるとされている1nm粒径のナノ粒子を、1nm径の多孔質で構成されているゼオライト中に合成した。実際にゼオライト中のみにナノ粒子が合成されていることを示した上で、こうした試料が触媒あたりの反応効率が最も高くなることも確認した。実際にベンジルアルコールの酸化反応触媒をモデル反応としてとりあげたところ、反応率、反応選択性ともに極めて高いことがわかった。このことについては、既往の研究実施例を調べ上げた上で、いずれにも増して高い反応効率であることを示し、非常に実用性の高い触媒を合成できたことについて論文発表した。 2023年度はこれに加えて、こうした純銅ナノ粒子をPNIPAMに代表されるサーモクロミック材料、すなわち熱応答材料中に埋め込み合成することを試みた。PNIPAMは室温付近の温度変化によって、その構造を敏感に変化させる分子であるが、銅ナノ粒子を導入することによって、ナノ粒子の強いプラズモン吸収による可視光の高効率吸収特性を付与することで、光熱変換を行い、結果的に熱応答させることを目指した。実際合成されたものの構造的分析および熱応答性能についての実験的確認を行い、その高効率性について論文発表した。この材料については光熱変換によって誘起される構造変化を活用したユニークな触媒反応への応用も期待できる。
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