2022 Fiscal Year Research-status Report
特異的な表面構造を有するシリカを鋳型に用いたトリアジン架橋高分子の構造制御
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19K05189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松木囿 裕之 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (50724150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリアミン / ポリプロピレンイミン / ポリエチレンイミン / シリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は前年度に続き、ポリアミン骨格を有するポリマーの合成を行い、酒石酸やコハク酸などの代表的な有機ジカルボン酸との複合化を行った。また新たに直鎖状ポリエチレンイミンとL-酒石酸から成る複合体を用いてシリカを作製し、その表面処理を行った。 ポリアミドからポリアミンを形成する合成ルートの開拓を目的とし、1,3-ジアミノプロパン-N,N'-二酢酸を原料とし、Boc保護した後、N-ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることで活性エステル末端を有するモノマーを合成した。これを1,3-ジアミノプロパンと反応させることで数平均分子量が10,000程度のポリアミドが合成できた。Boc基を脱保護後、アミド基をボラン還元することでエチレンイミンとプロピレンイミン骨格が交互に連結したポリアミンを合成することができた。しかしながらGPC測定により重合度が10程度であり、ボラン還元の際に主鎖の切断が部分的に生じた可能性が考えられる。 次に合成したポリアミンを水中で種々の有機ジカルボン酸と混合したが、結果的に沈殿を生じず、安定な複合体を作製することはできなかった。またポリプロピレンイミン自身をシリカソースと混合させた場合、溶解してしまい、シリカ作製のテンプレートとして機能しないことが分かった。 これらの結果を踏まえ、新規に合成したポリアミンではなく従来の直鎖状のポリエチレンイミンを酒石酸から成る複合体を用いてシリカを複製した。その後表面をシランカップリング剤で処理することで、フェノール部位を有するシリカ粉体を作製した。今後はこのフェノール部位を触媒として用い、ジシアナート化合物と反応させることでシリカ構造を反映したトリアジン架橋体を合成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
市販の短鎖のポリアミンから長鎖のポリアミンを合成する手法の開拓に多くの時間を必要とした。結果的にプロピレンイミンやエチレンイミン骨格を有するポリアミンを合成することはできたが、得られたポリアミンの重合度は予想より低く、前駆体のポリアミドからポリアミンを合成する条件をより検討する必要性が生じたことも計画に後れを生じた原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
直鎖状ポリエチレンイミンンと酒石酸から成る複合体を用いて作製したシリカの表面処理を行うことで表面に触媒部位を導入し、これをテンプレートとしてトリアジン構造体の構築を行う。そして作製したトリアジン/シリカ複合体の形態や表面構造の分析を行う。また、酸や塩基処理によりシリカを除去してトリアジン構造体を取り出す手法の開拓を行う。これまでに開拓したプロピレンイミンやエチレンイミンを用いてポリアミンを作製する手法の条件を再検討し、より長鎖のポリアミンを合成することを並行して行う。
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Causes of Carryover |
ポリアミンの合成経路の開拓に多くの時間がかかり、当初の4年の研究計画から延長する必要が生じた。そして延長により試薬の購入や分析等の支払いに充てる研究費も必要であるため、次年度の使用額が発生することになった。また申請者の所属と研究環境が変わり、エフォートを計画当初の値から変更することになったことも理由である。
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