2020 Fiscal Year Research-status Report
モバイル化ナノギャップによる任意点ラマン散乱光増強
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19K05191
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
兵野 篤 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教 (20554299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 史典 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 研究員 (10366429)
高瀬 舞 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20631972)
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40374566)
千葉 誠 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (80390384)
鈴木 啓太 北海道大学, 工学研究院, 技術職員 (90649146)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表面増強プラズモン共鳴 / ラマン散乱光測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実用的な高感度ラマン分光分析用のプローブとして、表面にナノギャップ構造を有した微細金属構造をもつ微粒子の創製と、その応用展開を目指している。高規則構造であるコロイド結晶と短時間電解めっき法の技術を用いて、表面にナノギャップを有する微粒子を作製し、試料表面の任意の測定位置に移動可能な汎用性プローブとして用いることで増強効果の原理解明の道筋をつけるとともに、実用的な測定プローブとしての応用展開に取り組む。 2019年度は粒子の生成条件と制御から取り組み、後半から表面構造の評価を、さらに光吸収によって表面プラズモン吸収の評価を行った。 0.01 M-0.1 M硝酸銀水溶液中で直流電圧1-5 Vでポリスチレンコロイド結晶に対してめっきを行ったとき、銀クラスターが粒子の間隙もしくは表面において成長する過程が明らかになった。これらは、ポリスチレン粒子の粒径を1000 nmから200 nmに変化させても同一の傾向が観察された。大電圧・長時間の電圧印加により過成長すると、銀はデンドライト状に成長している様子が観察された。オージェ分光分析の結果よりこれらの微細な銀構造体は、たとえ発生直後の非常に微細な粒子の段階においても酸化されていないことを確認した。また、これら銀の析出した試料について光吸収スペクトルを測定すると、銀の表面プラズモン吸収によると考えられる吸収が見られ、光増強材として利用できる可能性が示唆された。 2020年度は前年に引き続き、銀の析出条件の検討とプローブへの応用に取り組んだが、コロナ禍において実験の実行が困難であり、析出条件の確認を行うに止まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、研究遂行に著しい影響があり2020年度においては思わしい結果を出すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きコロナ禍の影響が予測されるものの、分担者と連携し、析出銀の微細形態観察とプローブへの利用可能性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により実験の遂行に多大な影響があり、消耗品の消費が予定より大幅に減少した。また、移動制限により出張が中止、多くの学会が中止またはオンラインに変更になったため旅費の計上がなくなったため使用計画に大きな変更が必要となった。 2021年度においては、学会開催の有無を見きわめつつ、旅費分は共通機器の使用料・技術代行費用として使用する予定である。
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