2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K05198
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
真庭 豊 神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (70173937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
客野 遥 神奈川大学, 工学部, 准教授 (10746788)
松田 和之 神奈川大学, 工学部, 教授 (60347268)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 流体現象 / 摩擦 / 抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然界の現象の理解や人工的なナノ機械の構築において、構成する物質間の摩擦現象の解明は重要な研究テーマの一つである。本研究では、隙間に水などの液体が介在する場合の摩擦現象と摩擦が関与した流体現象を明らかにする。特に、2次元材料間などの隙間に水などの液体がある場合の摩擦現象、およびカーボンナノチューブ(CNT)のナノ・サブナノメートルサイズの空洞内の水などについての摩擦が関与した流体現象を理論的・実験的に明らかにすることを目的とする。 2021年度は、2020年度構築したCNTの中の水の流体現象を明らかにするモデルシステムすなわち二つのタンクをCNTで結合し、その間を流れる水の流量Qと圧力差Pの関係について詳細な計算を行った。CNTとしては炭素原子の位置を固定した剛体モデルを用いた。また、簡単のために一方のタンクの圧力をゼロとした。2021年度は、各CNTにおいて長さおよび直径が異なる2種類についての計算を行った。2022年度では2021年度の計算結果をもとに、CNTの直径を3種類に拡張し、さらにCNTの長さも3種類に拡張して精密な計算を行った。 その結果、流量Qと圧力Pに対して示唆された2021年度の関係式の追認に成功した。CNTを通して流れる水への流体抵抗は、剛体CNT内部ではほとんど無視でき、更に見出された顕著な流体抵抗は、タンクとCNTとの接続部分、即ち水がタンクからCNTに流入する部分にあることがわかった。そのCNT を流れる水の流量Qは、Q∝(P-P1)と書かれ、ここでP1はCNTの直径に依存する定数である。今後これらの計算結果を詳細に解析して、水のCNTへの流入部分での水の局所構造変化についての詳細を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、実験室での研究が、放射光などの研究にかなり限られてしまい、研究は主に計算機シミュレーションをおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、今まで続けてきた計算機シミュレーションをより詳細に行い、結果をまとめて論文発表を行いたい。また、液体を挟んだ平板間の摩擦現象についての計算機シミュレーション及び対応する実験室での研究を行いたい。実験室ではAFM(原子間力顕微鏡)を用いた摩擦測定を行いたい。
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Causes of Carryover |
おもにコロナ禍で研究が期待したように進まなかったので研究期間の延長を行った。今後の1年間の研究費用が必要である。KEK放射光施設では、X線回折実験、法政大学ではNMR実験、神奈川大学では、計算機実験およびAFM実験を行う予定である。内訳は以下の通りです。 共同研究旅費(法政大学、KEK放射光実験旅費)150,000円;論文発表費用200,000円;NMR測定用寒剤400,000円;その他試薬・回路部品など180,347円
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