2019 Fiscal Year Research-status Report
生体分子精密整列化用足場分子の開発とバイオセンシングへの応用
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19K05219
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
飯嶋 益巳 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (40390728)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノバイオ / ナノ材料 / 生体分子 / 整列化 / 足場分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオセンシング技術の感度や特異性を高めるためには、ナノ界面でセンシング分子をクラスター化および精密整列化できる足場分子が重要な鍵となる。しかし、両者を同時に達成した技術例はなかった。研究代表者は、IgGとFc融合受容体のクラスター化および精密整列化を同時に行うことができる「バイオナノカプセル(BNC)足場技術」を開発し、各種バイオセンシングの高感度化と低コスト化を可能にしてきた。一方で、感度上昇効果が不十分な点や、BNC生産の煩雑さ等の課題もあった。そこで本研究では、BNC足場技術の改良、およびBNCの特性を進化させた新規足場分子の開発に取り組み、極微量の測定対象物質を、ワンステップで簡単・迅速に、超高感度に、安価に検出可能な技術開発を目指すこととした。将来的には、医療現場や食品工場等で実用できる測定キットへの展開が期待できると考えている。本年度は、モデル系の一つとして、食物アレルゲンのオボアルブミン検出で最も利用される、ELISA法およびイムノスティック法において、まず、これまでに見出した足場分子・ZZタグ提示型バイオナノカプセル(ZZ-BNC)を用いて、固相上および液相中の両方でZZ-BNCを足場分子として使用する、ダブルサンドイッチイムノアッセイ法について検討を行った。そして、ZZ-BNCの使用の有無による、シグナルの増強効果が期待できることを見出した。本技術は、本研究課題の基盤技術となることから、その検討意義および重要性は高いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ELISAサンドイッチ法を用いたオボアルブミンの検出で、捕捉抗体、検出抗体および酵素標識二次抗体を用いた測定系について、ZZ-BNCの有無によるダブルサンドイッチイムノアッセイの検討を行い、ZZ-BNCの有無によるシグナルの増強効果が期待できることを見出した。現在、捕捉抗体と検出抗体、および酵素標識二次抗体との組み合わせの最適化、非特異的吸着によるバックグラウンドの低減化、さらに再現性の確認などについて検討を進めていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ZZ-BNCの有無によるダブルサンドイッチイムノアッセイについて、引き続き捕捉抗体と検出抗体、および酵素標識二次抗体との組み合わせの最適化、非特異的吸着によるバックグラウンドの低減化、さらに再現性の確認などを検討する。POCが確立された後、さまざまな抗原について、さらに新規足場分子ZZ-L膜への展開を検討していく予定である。なお、これらの研究により得られた成果は、原著論文、学会、ホームページ等で幅広く発表する。
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Causes of Carryover |
理由:令和元年度に実施した研究において、抗原と各種抗体との組み合わせ等の最適化の検討を中心に行ったため、当初の使用計画で計上した物品費(消耗品費)の、特にさまざまな種類の抗原や抗体の使用が低減された。そこで本研究費は、次年度の研究計画に必要な物品費、特にELISAおよびイムノスティック法などの使用頻度が増えることが予想される試薬類や消耗品費に使用することとしたため、次年度使用額が生じた。 使用計画:令和元年度と同様に、主に物品費(消耗品費)、旅費(学会発表や研究セミナー参加等)、その他(論文投稿費、印刷費)、について使用する。なお、物品費(消耗品費)は、一般試薬、ガラス及び使い捨て器具、抗体試薬、タンパク質試薬類などを主として使用する。
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Research Products
(12 results)