2019 Fiscal Year Research-status Report
A development of analytical system for biological nanoparticles using resistive pulse sensing with functional nano-biointerface
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19K05225
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堀口 諭吉 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50609758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微量分析 / ウイルス / ナノ材料 / コロイド / ナノ界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細孔を用いた電気抵抗法と呼ばれる手法(RPS)を用いて生体微粒子解析技術の革新的な応用展開を目的とするものである。RPSは微粒子の大きさや形状など物理的な情報を得ることができるが、生物学的な情報を得ることは難しい。そのため、目的となる生体微粒子を計測するためには特異的にターゲットを識別することが不可欠である。これを解決するため、ターゲットと特異的に相互作用するナノ材料をプローブとして用いる。2019年度は研究計画書に基づき「ナノプローブへのリガンド固定化及びその物性評価」について実施した。 使用するナノプローブは金ナノロッドと呼ばれる棒状の形状をした金の微粒子であり、これは大日本塗料株式会社から提供を受けた。研究開始直後は目的となる金ナノロッドの割合が少なく副生成物が多かったが、条件検討の結果副生成物の少ない金ナノロッド分散液を得ることができた。 得られた金ナノロッドをRPS装置により測定を実施したところ、その形状に特徴的な電流値波形を示し、これがプローブとして機能することが示唆された。ターゲット微粒子とプローブが相互作用により結合した場合、プローブに特徴的な電流値波形が目印として機能するため、ターゲット微粒子の特異的な相互作用を確認することができる。 ターゲットとなる微粒子のモデルとして、A型インフルエンザウイルスを用いた計測を予定している。インフルエンザウイルスは細胞表面のシアル酸を認識して感染するため、ナノプローブにはこのシアル酸の修飾を行った。アニオン性ポリマーであるポリアクリル酸およびカチオン性ポリマーであるポリエチレンイミンをナノプローブ表面にコートし、シアル酸を縮合反応によりナノプローブの最外殻に固定化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度研究計画書に基づき実施した「ナノプローブへのリガンド固定化及びその物性評価」は「1.ナノプローブの調製」「2.ナノプローブの表面修飾」の2段階のプロセスがある。 1では吸収スペクトルや電子顕微鏡を用いて、ナノプローブ調製の評価を行った。今回調整したナノプローブである金ナノロッドは微細な金クラスターからの異方結晶成長により得られるが、調製条件がシビアなため、初期は球状の粒子や不定形型の粒子が多数を占めいていた。こうした材料が混在すると、測定そのもののノイズとなる可能性が高いため、条件検討を行いこれらの発生が少ない金ナノロッド分散液を得ることができた。 金ナノロッドはセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)と呼ばれる四級アミンの界面活性剤で被覆されているため、このままではリガンドを固定化できない。そこで、Layer-by-Layer法を用いて金ナノロッドをポリマーにて修飾した。最初にポリアニオンであるポリアクリル酸(PAA)をポリイオンコンプレックス形成により金ナノロッド表面に修飾。その後、表面上にポリカチオンである分枝型のポリエチレンイミン(PEI)を同様にポリイオンコンプレックス形成により表面に修飾した。最後にポリエチレンイミンの表面のアミノ基とシアル酸のアルデヒド基を縮合反応により結合し、シアル酸を固定化した。 上記の表面修飾プロセスはデータ電位測定により評価した。初期の金ナノロッドはCTABの影響でゼータ電位はカチオン側に振れていたが、PAA修飾後は大きくアニオン側に変化しPAAにて被覆されたことを確認した。PEI修飾後、ゼータ電位は再びカチオン側に変化しPEIにて被覆されたことを確認した。また、シアル酸修飾後は中性付近もしくは弱アニオン性を示し、糖鎖が固定化されたことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に示したとおり、ナノプローブの作製プロセスはひととおり成功した。一方で修飾過程において、凝集化等による金ナノ粒子のロスも発生し得られたナノプローブの割合が少なくなってしまったほか、表面修飾の再現性の問題も発生した。そのため、調製プロセスにおける収率や再現性の改善のため、ポリマー濃度、精製、混合過程等、条件を検討し、2020年度改善を図っていく。 ナノプローブの調製がうまくいった場合、プローブを利用した計測を実施する。プローブがRPS装置にて安定的に計測されることを確認した後、ウイルスとの複合化実験を実施する。具体的にはナノプローブとウイルスを相互作用させ、相互作用に由来する電流値波形が現れることを確認する。ナノプローブはウイルスよりも非常に長い形状をしており、ナノプローブにウイルスが付着してセットで計測されることが予測される。計測を確認後は、複合化や計測時の電圧などの条件検討を行い、最適な計測条件の模索を行う。
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Research Products
(4 results)