2019 Fiscal Year Research-status Report
Chiral Symmetry Breaking in Magnetoelectrolysis Processes
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19K05230
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
茂木 巖 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50210084)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 磁気電気化学 / キラリティ / マイクロMHD渦流 / 対称性の破れ / アミノ酸 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
磁場中での電析が電析膜の表面にキラリティを誘発することを磁気電気化学キラリティという.本研究では磁気電気化学キラリティにおけるキラル対称性の破れを実験的に検証し，その発現機構を解明することを目的とする.今年度は，具体的に以下のような実験を行い，キラル対称性の破れの要因を見出すことができた．
（１）銅の磁気電析膜におけるキラリティ発現挙動に，塩化物イオンの特異吸着がどのような影響をおよぼすかを５テスラの強磁場下で調べた．
（２）１～３テスラの比較的弱い磁場において磁気電析を行い，キラリティ発現挙動におよぼす磁場強度の影響を調べた．
磁気電析におけるキラル対称性として期待できるものは，印加磁場の極性を反転させるとキラリティも反転するという，磁場極性に対する「奇のキラリティ」である．事実，これまで多くの実験でそのことは確認されてきた．ところが，（１）および（２）の実験においては，磁場反転に対し奇のキラリティは観察されなかった．（１）においては，塩化物イオンの特異吸着がマイクロ電磁渦流の構造に揺らぎを生じさせるためであると推察された．（２）においては，磁場が弱いためにマイクロ電磁渦流が十分に発達できず，大きな揺らぎが存在することが推察された．両者の結果から，マイクロ電磁渦流における揺らぎが奇のキラリティの破れの要因であると考察することができた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
磁気電気化学キラリティにおけるキラル対称性の破れの機構解明を目指す本研究において，初年度は、奇のキラリティの破れを実験的に実証することを目的としていた。そのことは、銅の磁気電析において、塩化物イオンの特異吸着がある場合と、弱い磁場の下での磁気電析において確かめることができた。さらに、これらの実験結果から、キラル対称性の破れの要因として、マイクロ電磁渦流の揺らぎが重要であることを突き止めることができた。このことは次年度以降の研究の焦点を絞るのに多いに役立つ結果である．
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| Strategy for Future Research Activity |
銅の磁気電析においてマイクロ電磁渦流の揺らぎが生じやすい条件を見つけ、そこで奇のキラリティの破れが起こるかどうかを探索してゆく。具体的には以下の実験を行う予定である。
１）100マイクロm以下の径のマイクロ電極を用いて磁気電析の実験を行う。マイクロ電極では、非常に強いマクロな回転電磁流が電極の周りに流れるため、マイクロ電磁渦流に大きな揺らぎが生じるものと期待される。
２）電解セルを磁場の中で回転させる回転磁気電析法において、回転周波数と磁場を変化させ、回転の影響がマイクロ電磁渦流に強く現れる条件を探索し、キラリティの挙動を観察する。
両者とも、マイクロ電磁渦流における揺らぎを誘発する実験条件となっているため、キラル対称性の破れの要因について、より深い知見が得られるものと期待できる。
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| Causes of Carryover |
（理由）今年度は、より少量の電解液で磁気電析を行うなどの工夫をして、実験を極めて効率的に進めることができたため、試薬や電極、電解セルなどの消耗品の購入を節約できた．さらに、３月の電気化学会と応用物理学会への出張が，新型コロナウィルスの影響で中止となったため、予定していた旅費の出費がなくなった．このような事情により次年度使用額が生じた．
（使用計画）次年度使用額は、令和２年度請求額とあわせ、令和２年度の研究計画の遂行に使用する予定である．具体的には、白金のマイクロ電極の購入や、回転磁気電析装置の組立部品、データ解析や学会発表に使用するのパソコンなどを購入する予定である．
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