2019 Fiscal Year Research-status Report
二硫化モリブデンによる二次元単結晶半導体極薄膜ナノポアセンシング
Project/Area Number |
19K05233
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川合 健太郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90514464)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 二硫化モリブデン / ナノポア / イオンビーム加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、半導体の物性を持つ二硫化モリブデンの二次元結晶膜をナノポアセンシングのための隔膜として利用するために、2つの手法でナノポア測定基板として利用可能な成膜を行った。ひとつはバルク体からのテープ剥離法による単離であり、剥離を行った二硫化モリブデンの二次元結晶膜を酸化シリコン基板へ転写した。 もうひとつの手法は、Ga金属触媒を利用した大気圧CVDによる二硫化モリブデン二次元結晶膜の気相成長である。硫黄蒸気と酸化モリブデンを反応させることで二硫化モリブデンが形成される反応を利用し、酸化シリコン基板へ直接CVD成長を行った。加熱時間・窒素流量・アニール速度等について大気圧CVD条件の検討を行い二硫化モリブデンの形成を確認した。二硫化モリブデンのCVD条件について、層数のコントロールや膜質の改良についてさらなるプロセス検討が必要であり、次年度は、大気圧CVD法によるグラフェン自立膜形成を二硫化モリブデン膜のCVD成長に応用し、基板に直接二硫化モリブデンの二次元結晶自立膜をCVD成長で形成できるようプロセスの改良を行う。 ヘリウムイオン顕微鏡を用いた二次元結晶膜に対する加工について、照射量とアパーチャを変更しナノポアの加工における影響を観察した。バルク体からのテープ剥離法による二硫化モリブデンの二次元結晶膜に対してヘリウムイオンビームによる加工を行い、最小で直径5nmのナノポア形成を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定どおりバルク材料からシリコン基板ヘ転写した二硫化モリブデン膜を用いてナノポア形成を進めた。バルク材料からテープ剥離法によって剥離を行った二硫化モリブデンの二次元結晶膜の単離と、結晶膜に対するヘリウムイオンビームによる直径5nmのナノポア形成まで実現している。今後は、研究代表者が実証した大気圧CVD法によるグラフェン膜形成を二硫化モリブデン膜に応用し、基板に直接二硫化モリブデンの二次元結晶自立膜をCVD成膜する研究を前倒しで進めた。 研究目的の実現に向けおおむね順調に進展しており、一部については当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
二硫化モリブデンナノポアを用いたセンシングデバイスの構築に向け、ナノポアの集積化プロセスを開発する。検出の高感度化に向け、ナノポア形成の再現性や種々の条件下におけるナノポアを通過するイオン電流特性について知見を深める。
|
Causes of Carryover |
研究が予定よりも進展し、二硫化モリブデン膜をCVD成長させるための装置改良や消耗品が必要であったため前払い請求を行ったが、新型コロナウィルスにより3月の実験が一部延期となったため施設利用料や消耗品費の残額が生じた。前払い請求を行って進めている実験を次年度も引き続き進め、当初計画に沿って進めて行く予定である。
|